イシガミケイタ15歳。理由あって、魔王と呼ばれています。

みらい さつき

第1話 世界をやり直す力。


 12歳の時、オレは世界と繋がった。時をループし、やり直す力を得る。

 だが、世界と繋がっても、オレの日常はたいして変わらなかった。普通に学校に通って、普通に勉強をする。

 今日がループしていたことはオレたち当事者以外の記憶には残らず、誰も何度も同じ時間をやり直した事に気づいていない。

 3年が経ち、オレは中学生になった。 

 ユウキとの仲は順調だ。上手くやっている。

 ユウキのペットのホメは、あの日以来言葉はしゃべらない。ただ可愛いだけのペットに戻った。


 中学生になったユウキはますます格好良くなる。背がぐっと伸び、イケメン度は増した。オレと付き合っていることを知っていても、ユウキに告白する女子は絶えない。それは同級生だけではなかった。年上のお姉さんにもモテる。春に来た新卒の女教師もユウキに好意を寄せていることにオレもユウキも気づいていた。

 そのことをオレたちは軽く考える。教師の立場を捨てて、何かするとは思えなかった。ユウキは向けられる好意をスルーする。

 しかし女教師はストーカー化した。

 オレはと一緒にいた時、襲われる。

 目の前で刺されたユウキが倒れた。もしかしたら、オレを庇ったのかもしれない。普段なら、ユウキは刺されるようなへまはしないだろう。

 その時、何が起こったのかオレはよく覚えていない。目の前の光景が、ただ信じられなかった。

 女教師は刺した後、包丁を引き抜く。

 ユウキの身体からありえないくらいの血が流れ出した。

 ユウキの死をオレは直感する。

(駄目だっ!! こんな世界は認めない!!)

 心の中でそう叫んだ。

 そしてあの時のように、時間が戻ることを願う。やり直して、ユウキを助けようと思った。

 そして、その願いは叶う。

 朝に戻り、今日をオレたちはやり直した。

 女教師はユウキを刺す前に取り押さえられ、連れて行かれる。

 ユウキの命を救ったことに、オレはほっと安堵の息を吐いた。



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