第二部 Ⅻ:創世記 その3
そう言うと、アレグレットは杖でふたりにに
「このあたりも三年前までは、それはすてきなお花畑だったわ」
アレグレットは遠い目でつぶやいた。
「枯れることも
妖精はもう一度杖を振ってふたりを崖底へ導いた。あの日、逆さまに落ちて行ったのと同じ底なしの峡谷を、きょうはちゃんと頭を上にして降りて行く。と、複雑に入り組んだ岩々に閉ざされていた視界が突然開け、その彼方に懐かしいあの巨大な瀧が再び姿を現した。ふたりとも息を飲む。
「もっと近くへ行きましょう」
アレグレットは切り立った崖と崖の間を回り込むように旋回し、ワープしてふたりを瀧の間近へと導いた。
今やすぐ眼下に,瀧は壮大な翼を広げていた。どんなにのぞき込んでも底は見えず、どちらに目を
「 … 時々迷うの」
アレグレットがそっとつぶやく。
「本当に星を耕してしまって良いのかしらって … 。ポテンシャルを解き放つのは確かにひどく危険なことだもの。眠りから目覚めた悪い心や災害に傷つけられていく大勢の人たちのことを思うと切ないわ。でもね、 —— ねぇ、銀河くん、3号くん。本当はどちらを選びたい?どこまでもどこまでも果てしなく続く楽園か、底知れない海や暴れまくる火山や目くるめく断崖か … 。じゃ、あとは君たちにまかせて私もそろそろ次の星へ行くことにするわ。またどこかで会いましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます