●●が来る前に

kara

 

 だいぶ外が暗くなってきた。秋になると日が落ちるのが早い。僕は窓から外の景色をながめていた。

「お兄ちゃん……」

 弟が僕を呼ぶ。

「どうした」

 なるべく不安を顔に出さないように気をつけながらほほ笑んだ。

「『おかあさん』、帰ってくるかなあ」

 彼は僕と同じ顔で心細そうな表情をして聞く。

「──もうすぐ帰ってくるよ、」

 自分でもそう願いながら答えた。

「そうかなあ。きのうもそうやって帰ってこなかったし……」

 弟はうつむきながらつぶやく。もう少しで涙がこぼれそうだ。

「大丈夫だよ。僕たちが待ってるの、分かってるはずだから」

「お兄ちゃん、僕おなかがすいたよ」

 そういえばお昼の給食から何も食べていない。僕のお腹も思い出したようにきゅう、と鳴る。

「『おかあさん』が帰ってきたらきっとごはんも作ってくれるよ」

「本当に?」

 彼はこちらをむいて聞いた。

「ああ。──こっちへおいで」

と両手をさしのべる。

 彼はとことこと近づいてきて僕の腕に飛びこんできた。冷えた体が彼の熱で少しあたたかさを取り戻す。

 ……こうやって2人でいれば大丈夫。きっとあの人はあと少しで帰ってくるだろう。


 まもなく夕闇がすべてを包んでしまう。それまでに彼女がぼくらを見つけてくれますように。

 僕はそう思いながらゆっくりと目を閉じた。


 了




※必要ないと思うけど設定

双子 2人はそのうちつきあう 中~高校生くらい(この話は小学5、6年くらい)


・一三五(ヒミコ)…相手を自分の思い通りに操れる。自分の考えた通りに殺せる能力


・二四(フシ)…兄の能力を弱くした感じ 幻覚系

  不死 能力を使いすぎた後遺症で目がわるい 使いすぎると視力を失う


ある暗殺組織の一員

両親は小さい頃に他界 今は養親の元にいる ややネグレクトぎみ(養母のみで養父は帰ってこない)

両親の死に双子は何か関係はあるが、当人達は自覚していない

同じ顔で兄の方はやや男顔 弟は優しめのルックス

絵もそのうち描く…たぶん


一三五の設定追加(前に書いたのが出てきた)

自分が殺したいと思った相手を好きな方法で殺せる 洗脳されると危険なので鬼子扱い その方法で自分の両親も殺した(物心つく前後だったので本人は覚えていない)

能力を使うと後遺症で記憶に障害、もしくは頭痛に襲われる 使いすぎると死に至る

(能力のせいで背があまり伸びていない)


二四

兄の能力が弱くなった感じ 幻覚に特化

五感が鋭いので生活に支障はほぼない(兄もめちゃくちゃサポートしてる)

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●●が来る前に kara @sorakara1

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