第4話 爆炎のアベル
アベルに連れられること30分。イグゼル達は魔人族の村にたどり着いた。どうやら、村に来れないようにあえて気配を出し、上手く誘導していたらしい。
「ここが……村…ですか?」
エレナが疑問に思うのも仕方がない。なぜなら、ほとんどの住宅が倒壊していたからである。
「すまねぇな。2ヶ月前に魔王グーゼンベルクという奴に襲撃されてな…。その時、俺はちょうど街の方に出かけていたところで、帰った頃にはこの有様だ。」
グーゼンベルクだと!?あいつがなぜ魔人族の村を襲う必要なんかあったんだ。
「それで…ほかの住人は?」
「ここの俺を合わせて11人と残りの5人で全員だ。」
他の連中は全員グーゼンベルクの炎に飲まれたらしい。
「あいつだけは俺がこの手で……」
アベルは拳を握りしめ、唇を噛んだ。
「………」
村の散策が終わり、アベルの家にグーゼンベルクの話を聞きに行った。
「グーゼンベルクの炎もかなりの威力だったが、あんたのも凄かったよ。炎以外にも何か属性を使えるのか?」
「まぁ一応な。制限はあるけど」
「名前はイグゼル……なんだっけ?」
「ヴァルトベルクだ」
グーゼンベルクの話もあまり知らなかったようだか、とりあえず俺は先を急ぎたい。
「イグゼルさんは鬼神族という希少な種族なんですよ!」
エレナが自慢げにアベルに話をした。しかしその事を聞いた途端アベルの顔が変わった。
「鬼神族……お前まさか!」
「なにか聞き覚えが……!?」
ドガンッ
イグゼルはアベルに頬を殴られ、家の奥の林まで飛んでいった。
「………くそ、なんだよ急に…」
アベルは全身に灼熱の炎をまとい、俺の事を睨みつけながら言った。
「ヴァルトベルク…グーゼンベルク…なんだか名前が似ていると思っていると思ったら、お前、あいつの仲間だろ!」
「……!」
「違う!イグゼルさんはそんな人……」
エレナが俺を庇おうとしたが、
「そうだ。俺はあいつの息子だ……だが、これにはちゃんとした事情が…!」
実は俺は魔王グーゼンベルクの実の息子なのだ。
俺はあいつに操られて故郷を火の海にして大勢の人を殺し、恨みを勝った。
イグゼルが説明をしようとした瞬間、アベルはお構い無しに、俺の事を殺そうとしてきた。
「魔人炎武術、
一瞬にしてアベルはイグゼルのところまで蹴りだし
拳を黄色の炎でまとい叩きつけた。
イグゼルはギリギリ避けることが出来たが、叩いた地面は一瞬にして大きなクレーターができた。
「話を聞け!俺はお前らと争いたくは無い!そしてグーゼンベルクの仲間でも無い。」
「そうですよ!イグゼルさんはそんな人なんがありません!」
エレナも俺の潔白を表明するが、アベルは話すら耳に入ってなかった。
「うるせぇ…お前が魔王の仲間でもそうでなくても、グーゼンベルクの息子には変わりはない…。二度とこんな事が起きないように俺は、魔王の血族を滅亡させる。」
そう言うとアベルは、瞳が黄色く光、体にまとった炎を倍増させ、俺にこう言った。
「俺の二つ名は爆炎のアベル…」
「イグゼル……俺と決闘しろ。」
次回 「決闘」
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