SOUKI Adventure

吉川 富郎

冒険編-Adventure

プロローグ

 ふんふんふん~♪……えっ?!もう始まったの?ゴホン、ゴホン…皆さんどうも。私の名前はリシア。でも、昔は「餃子ちゃん」と呼ばれてるんだ~まあ、とりあえず、よろしくなぁ!


 あれ?その名前って、ちょっとおかしいと思うの?えへへ~だってさ…かつてお父さんとお母さんがやってた中華屋さんの一番人気は、まさに「餃子」だったのさ!…うん?


===【アッハッハッハッハ~――】===


 …うむむ……ほら~何笑ってんの!きっ、君たちもわかるんだよね、特に熱々の餃子が出てきたらテンション上がるその瞬間!箸でちょいとつまんで、特製ソースにつけて、パクッと噛んだら、ジューシーな肉と汁と香りが口の中に広がって、餃子だけの異世界に夢中になってしまうんだ。


 あぁ~食べたい…羽根付き餃子とか、水餃子とか、棒餃子とか、今すぐ食べたいんだぁ──!


『ちょ…ちょっと~!お姉ちゃん何やってるの!これはグルメ番組じゃないよ…しかもまだ説明してる途中なんだから、いきなり「暴走」するなんてダメなの!』


 えっ?!あははっ~…ごめんごめん、つい……まぁ、ということで、ここの餃子が一番大好きなので、だから彼らはこの可愛い名前を私につけて、しかもこの店の看板娘になりました!


 それと……彼らは本当の親じゃなくて、お世話になってる人なんだ。私が幼い頃、彼らは山で薬草を採ってて、崖の下で怪我した私を見つけて、家に連れて帰ってくれたんだ。目が覚めたら、自分が何も覚えてないことに気づいたんだ。でも、優しい彼らは行き場のない私を引き取ってくれた。


 どころで、彼らには可愛い娘がいます。名前はマルコ、それは「丸顔の子」という意味なんだ。むふふ~名前の通りに、本当に可愛い女の子なんです。暇な時、私は一緒に外で遊んであげるんだ。まあ、でも野良犬に追われたりしたこともあって、その時は神様に助けてもらって、なんとか逃げ切ってたんだ……


 うん?いやいや、勘違いするな!私だって、仕事以外は遊ぶことばかりじゃないんだから!たまには仕事が終わったら、武道館に行って基本の体術を習ってるんだ。けど、それは許されないことだ。だって私は授業料を払っていないし、彼らも女性の弟子を受け入れないので、こっそり見学して、自分で勉強してるんだ。護身術ができたら、弱い妹を守れるようになると思うんだ……


 あ、そうそう!お父さんとお母さんは料理屋さんを始める前に、すごい人だったんだよ。じゃ、ここで少し紹介しましょう!お父さんの名前は「ルーク」、昔は帝国の御用鍛冶屋だったんだ。武器の作り方や直し方や強化方法が得意だったけど、帝国の戦争に嫌気がさして、この辺りの町に逃げてきたんだ。


 お母さんの名前は「マティナ」、元々は無名の見習い魔法使いですが、しかしある日、彼女がこっそり禁断の暗黒魔法を勉強してたのが学園長にバレちゃって、追い出されちゃったんだ。


 その魔法─「万源吞蝕(エクリップス)」はすごく危なくて、うまくコントロールできなければ、他人や自分の命を奪うことにもなりかねません。そこの魔導師たちは、彼女が外でこの禁術を使い続ければ、いずれ人間に危害が及ぶことを恐れ、だからその体に封印術をかけた。


 それから、お母さんは魔法を使えることができるけど、自分体内の魔力はその後も成長せず、新しい術式を学ぶこともできなかった……


 それから二か月後、彼女はこの村に来たんだ。でもそのころは魔物が出てきて人間を襲ってたのだ。そしたら彼女が魔物に襲われてた子供を助けようとしたら、勇者みたいな男が現れて、彼女と出会っちゃったんだ。手を取り合って魔物を退治した後、運命に導かれたこの二人は恋に落ちて、この村に住むことになって、料理屋さんを始めたんだ。商売も上手くいって、結婚三周年には可愛い赤ちゃんが生まれたんだ。めでたしめでたし♪~


 因みに、この料理屋さんでは、お父さんとコックが料理を作ってるんだ。お母さんはカウンターと注文と帳簿を担当してる。そして君達、この料理屋さんを甘く見るなよ!なぜなら、後ろに台所があるほか、なんと鍛造室がいるからですよ!そして二階には私達が住んでる場所なんだ。


 お父さんは前に言ったみたいに、人を傷つける武器を作るのは嫌いだったけど、それでも、彼は強力な道具を作ることに興味を持っていた。だから暇な時にはいつも鍛冶場で、いろいろの「調理器具」を作ってたんだ。えぇ~それは「武器」じゃなくて、「調理器具」だぞ!(笑)


 それにして、お父さんが作った調理器具の中に、気になるやつがあるんだ。それは普通の調理器具よりもすごく大きくて、お母さんと一緒に製作に協力しなければならず、しかも完成するまでに何年もかかるという特別なやつなんだ。


 その名前は【双姫(そうき)】。大きな鉄棒を二本合わせた刀箸で、中には何が珍しい鉱石が入ってるらしいんだ。二つ合わせると、「鉄箸」みたいになるんだ。


 この二本の鉄の棒は、私たち姉妹のように、将来は色々なことで離れてしまうかもしれないけれど、一緒にいれば無限の可能性が拓けると、彼らは作った時に言ってたんだ。両親も、これが最高傑作だと自慢しています!


 うんん……しかし、その「傑作」は見た目はすごいんですけど、実際には何の役にも立たなかったので、結局、お母さんはその鉄棒を裏庭の土に刺して、糸を結んで物干し台にしちゃったんだ。あの時、私は父さんの心の不満と悲鳴を聞いたようだった…


 まったく…この二人は何を考えているのか分からないなぁ~本当に…


 はい~はい!これが私がこの家に来てからの数年間の話なんだ。もっと詳しくは後にしましょう!だってこれ以上続けると、きっと「うるさい」と言われるだろう……


 …でも正直、私達の暮らしは豊かじゃないけど、家族は私のことを大切にしてくれて、本当の娘みたいに扱ってくれたんだ。その優しい気持ちに、とても感動しました。家族に愛される幸せを感じられたんです!


 これからもずっと、ずっと~みんなと一緒に暮らしたい!心の中でずっとそう望んでいたんだけど、しかし――


 ...【あの残酷な夜は、すべてが変わってしまった――】...

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る