魔物使役

(藍那視点)


 しばらく山道を歩いているとカラスがウチの事をジーって見てバタバタと羽を羽ばたき出した。


「マジで何なんだよあのカラス?」


「なぜか先程からずっとついてきている気がするのだが」


「アレは求愛やな、きっとアイ坊に気があるんやろ」


 アイ坊ってなんだよ?

 全然可愛くねえし…


「ああぁん、んなわけねえだろ!

 つーか目の前に変な表示が出てんだけどー」


 ワイらはさっき旅の商人から分けて貰った干し肉を少しカラスにあげるとアイ坊のウインドウに

『山カラスを眷属化テイムしますか YES/NO』とかいう表示が現れたらしい


 おおっもしかしてこんな感じで魔物をゲット出来んのか?


 彼女は即座にYESを選択すると『山カラスの眷属化に成功しました。続いて名前を付けてください』という表示が現れたって——


「名前かーっ? ウチ、名付けとか得意じゃないんだよね。まあいいや、そんじゃお前は黒……ブラックでヨロシク〜」


 彼女から名前を聞いたその瞬間、ブラックは輝き出した。


 すると突然、目の前が真っ白になり意識が薄れていった————





 ■





「オイっアイ坊! 大丈夫か?」


「ん……なんだよ一体どうしたんだよ?」


「おお目覚めたか、どうやら藍那殿はあの魔物を使役する代わりにSPを消費するようだな」


「魔物を仲間にできるんやな? これはとんでもないスキルやで! ほんならドラゴン狩に行こうやーっ

 ワイ1度ドラゴンに乗ってみたいわ」


 アレっもしかして魔物使役ってスキルはコレかーっ!? 何だよコレ超ヤべえスキルじゃん

 体力をごっそり持っていかれるし!


 目の前の枝に止まっているブラックが水回復魔法ヒールウォーターをかけてくれた。


 「ん? 何か楽になったんだけどー?

 何コレ、魔法ってヤツじゃね?」


 いきなり元気になったぞ? コレが魔法ってヤツなのか? つーかこのカラスってそんな事出来んのか? ちょっと気になるのでステータス確認してみるか?



 ステータスオープン!


 ———————————————————————



 ブラック


 種族 白鴉


 レベル1


 HP28 MP32 SP3

 攻撃15 守り8 敏捷21


 スキル

 風魔法、水魔法


 進化:条件を満たしていません


 加護:無し


 ———————————————————————


 真っ白な鴉に進化したのか? 目が赤と緑色のオッドアイになってるし? しかもやっぱ魔法使えるじゃん! コイツといればウチらも魔物どもとガンガン戦えるんじゃねえか?


「お前いいね! 気に入ったぞ」


 ウチがブラックの身体を撫で回しすとブラックは気に入ってくれたのかウチに身を寄せていった。




 途中

 山ネズミやスライム、ツノ兎等の低級魔物が襲いかかって来たがガルタの剣術、そしてブラックの水魔法のおかげであっさり倒して行った。


「ブラックの活躍があったからこそだ。

 アイナ殿の能力スキルはホントにすごい!」


「テイマーか、いいなあ!オレも杉田さんみたいに魔物を仲間にしたいッスよ」


「ホンマやなぁ、エロいお姉ちゃんの魔物とかゲットしまくりたいなあ、そしたら海坊のハーレム誕生やないか」


「えっそんなのいるんスか?」


「うむ、例えばサキュバスとかマーメイドとかね」


「おうそうなったら海坊の異世界バコバコ生活の始まりやんけ!」



 チッくだらねぇ

 そんな事ばっか考えてんのかよ

 この関西弁のオッサンマジでバカじゃん


「よし、カイ君はそれを目標に……」


「しないっスよ!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る