さらに次のハントへ
142.ハンティング計画確定!
「できたにゃ、できたにゃ! ついに完成にゃ!」
「なんだ、リオン、騒々しい」
「新しいハンティングルートが完成したですにゃ!」
「……と言うことは」
「はいですにゃ! 王都を出発できるのですにゃよ!」
「やりましたね! これで、またモンスター狩りの日々です!」
うん、ミキは本当に嬉しそうだな。
「あー、ミキ殿? 今回のハンティング場所までは2週間近くかかるにゃよ?」
「え、そうなんですか?」
「そうなのにゃ。一度天陀に寄って、書類を提出してから再出発になるのでそのペースにゃ」
「むー。せっかく大量のソウルをゲットできると思ったのに……」
「ちょっと待ってよ、それじゃあ、あっちにいられるのって2月の中旬くらいまでじゃない」
「はいですにゃ。その代わり、車で移動できる場所を選択していますので、キャンプ地間をガンガン車移動しますにゃよ!」
「なるほど。いられる期間が短い代わりに、移動時間は限界まで圧縮と」
「はいですにゃ。生息しているモンスター数もかなり多いですにゃ。ちょーっとレベルの低いのも混じってますが、そこは数を倒すことで我慢するにゃ」
「レベルが低いねぇ……どれくらい?」
「……レベル100にゃ」
「私たちにはおいしくない相手ですね」
「代わりに他のモンスターはレベル150以上が揃ってますにゃ! 危険ではありますが、ソウル集めにはもってこいですにゃ!!」
「確かにな。……いやな予感がしてきてきたんだが、そいつら雷をはじくとかはないよな?」
「大丈夫ですにゃ。特に弱点というわけではありませんが、雷をはじくという情報もありませんにゃ。それに、今は狙っているモンスター4匹が総て活動していて、他にハンターがいないことは確認済みですにゃ。ボーナスタイムですにゃ!」
「わかったわかった。それで、俺たちは何を準備すればいいんだ?」
「錬金術士ギルドにいってクーリングドロップというのをたくさん買ってきてほしいですにゃ。行く場所は熱砂の砂漠ではないですが、一部、砂漠状になっている地帯がありますにゃ」
「わかった。クーリングドロップね。これの効果は?」
「20分ほど、体を熱気から守ってくれるんですにゃ。【環境耐性】だけでは効かない場所もあるのにゃ。ああ、ドラゴンのブレスとかは防いでくれないから覚悟するにゃ」
「……ドラゴンブレスって……まさか」
「そのまさかですにゃ、アヤネ殿。吾輩たち、ついにドラゴンスレイヤーにゃ!」
「ワイバーンとかよくいる亜竜種じゃなく?」
「もちろん、そんな弱っちいモンスターじゃありませんにゃ! 本物の竜2匹、運が良ければ3匹と戦闘ですにゃ!」
……果たして3匹と戦えるのが幸運なのか?
いや、ソウルを稼がなくちゃいけない俺たちには幸運か。
「詳細は夜に伝えますにゃ。お三方は市場で食材を買ってきてくださいにゃ」
「食材ですか? 食料はたっぷりアイテムボックスに入ってますが」
「それは非常食に回したいんだにゃ。今回の討伐対象は、料理のにおいには鈍感なので、現地で体が温まる料理を作れるように素材を用意して欲しいのにゃ」
「わかりました。……でも、この時期って冬ごもり前で食材、お高いんですよね」
「買い占めろとはいわないにゃ。2週間分くらいの食材だったらどの店もおかしな顔はしないにゃ」
「了解です。じゃあ、ふたりとも行きましょうか」
「ああ、わかった」
「……でも、ミキが2週間分の食材しか買わないって、逆に不思議に思われないかしら」
アヤネの心配は的中だったようで、ミキが2週間分の食材と言い出した途端、店主が驚いた顔をした。
結局は、どこの店でも4週間分ほどの食材を普通に用意してくれるあたり、普段のミキの買い物量がわかるというものだ。
「……こんなに買っていって大丈夫でしょうか?」
「多い分にはいいんじゃないか? 腐らないんだし」
「そうよ。最終的には料理にしてしまって、各自のアイテムボックスで非常食にすればいいわ」
「……ですね。でも、どうして、リオンさん、今更食材の調達を頼んできたんでしょうか?」
「さあ? あのネコも何を考えているのかわからないときがたまにあるからね」
「まだ俺たちが理解していない『ハンターの常識』かもな。ともかく、家に戻ろう」
そうして、家に戻ってきたときには、リオンが庭でショットワイヤーの調整をしていた。
「楽しそうね。ネコ」
「何なら、アヤネ殿もやるにゃ? 冬の寒さが身にしみるにゃよ?」
「……やめておくわ」
「その方がよいのにゃ。さて、ショットワイヤーの調整も終わったし、吾輩も中に入るにゃ」
「次行く場所ってショットワイヤー必須なのか?」
「水落ちしたくなければ必須であるなぁ。状況によってはドラゴンブレスを避けるために、水の中に潜らねばならないのにゃが」
「冬にはきつい狩り場だな」
俺はつい身震いしてしまう。
聞いただけで寒そうだ。
だが、リオンはなんでもないように言い放つ。
「そんなにきつい狩り場ではないのにゃ。冬場でも外気温は20℃ほどある狩り場にゃ。と言うか夏に行っても25℃程度だから、季節による変動はあまりない狩り場にゃね」
「それは良かった。じゃあ、家に入ろうか」
「にゃ。冷えたので暖炉で温まりたいにゃ」
「ハントの最終確認は?」
「それは晩ご飯の後にゃー」
さっさと暖炉の前に陣取り丸くなるリオン。
仕方がないので、俺たちも各自、お風呂に入ったり何なりと食事前に済ませられる行動をとる。
そして、食事後。
食器が片付けられたテーブルに地図を広げてリオンの説明が始まる。
「まず吾輩たちが向かうのが天陀の街、懐かしいですがギルドで軽く挨拶をしてハント計画書を提出したら、できる限り早く出発にゃ」
「天陀の街までは3~4日だっけ?」
「今回は急ぎで行きますので3日でつかせますにゃ。それに、ハウススキルがあることがわかった今なら、キャンプポイントを考えずにガンガン進んでいいけますにゃ」
「なるほど。それで、その後は?」
「これまた懐かしの死道に入っていきますにゃ。死道の魔物はできる限り無視したいので、フート殿に焼き払ってもらいたいにゃ」
「任された。でも、死道ってどこに続いているんだ?」
「実は、死道は奥に行くと分岐点がありますにゃ。1つめは直接魔黒の大森林に入るルート。2つめはそのまま死道を走り続けるルート」
「と言うことは?」
「3つめが今回の吾輩たちの目的地、礫岩の荒野に続くルートですにゃ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます