125.【氷牙の狐王】エイスファン戦 1
またまた大遅刻です<m(__)m>
おっかしいな、スマホのアラームを止めた記憶がない
とりあえず、今日もチェックが緩いと思いますのでご容赦を……
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「さあ、つきました。ここが【氷牙の狐王】エイスファンのテリトリーですにゃ」
「テリトリーって……なにもいないわよ」
「まず確認ですにゃ。テラはここから動かないこと。ここにいればエイスファンの攻撃を食らうことはないので安全ですにゃ」
「ウォフ」
「そして、我々はこの木々の中心まで脚を進めるのにゃ。そうすれば【氷牙の狐王】エイスファンがお出ましにゃ」
「おっけー。とりあえず、わかったわ」
「エイスファンが登場したらまずは全員分散ですにゃ。猛吹雪の全体攻撃を使ってきますにゃ」
「分散したら回復魔法が使えないんじゃ?」
「その必要はないですにゃ、フート殿。ダメージは全員水耐性のおかげで微少で済みますにゃ。問題は吹雪で視界を奪われる事ですにゃ」
「確かにそれは厄介ね。どうすればいいの?」
「アヤネ殿は、とにかく威嚇と威圧を吹雪の中心部に向かって使ってくださいにゃ。それでエイスファンの注意を引けますにゃ」
「了解。しばらくは私が注意を引き続けるのね?」
「そうなりますにゃ。エイスファンはターゲットを変えやすい性質がありますにゃ。なので5分くらいは粘って欲しいのにゃ」
「5分……さすがに堅牢は割られそうね」
「堅牢は必要経費と割り切るにゃ。その間の回復はゼファーの回復ブレスでお願いするにゃ」
「オン!」
「もし、ゼファーにターゲットが移ったら全力で奪い返してくださいにゃ。ゼファーにターゲットが移るということは、吾輩たちも安心して攻撃できませんにゃ」
「それもそうね。気をつけるわ」
「5分経ちましたら、吾輩とミキ殿の物理アタッカーの出番ですにゃ。ミキ殿は灼熱拳、吾輩は風纏剣で攻撃するにゃ」
「普通の物理攻撃じゃダメなんですか?」
「どういうわけか、普通の物理攻撃だとほとんどダメージが通らないにゃ。なので、灼熱拳と風纏剣で攻撃にゃ」
「わかりました。でも、灼熱拳って、5分しか持ちませんよ。そのあと5分は使えませんし」
「その間は休んでもらって構わないですにゃ。そして、そのときがフート殿の出番ですにゃ」
「ようやく出番か。どうすればいい?」
「まずはイフリート・アームでどれくらいダメージが入るか試してみるにゃ。それが有効そうなら、ターゲットを奪わないように気をつけながらイフリート・アームにゃ」
「イフリート・アームがダメだったら?」
「レベル6魔法を試すにゃ。レベル6魔法は……」
「イフリート・ブレスだ」
「じゃあ、それを頼むにゃ」
「了解。でも、ターゲットとは関係なく後衛狙いの攻撃は飛んでくるんだったよな?」
「はいですにゃ。詠唱中は気をつけてくださいにゃ」
「わかった。それじゃあ、始めようか」
戦闘開始前のブリーフィングも終わり、俺たちは雪原の中を進んでいく。
不思議なことに、雪原の深さは歩く邪魔にならない程度しかなく、これもエイスファンの影響なんだろう。
さて、どうでるか……。
「吹雪が来ましたにゃ! 全員散開!!」
リオンの叫び通り、凍てつく吹雪が周囲を包み込む。
そして、吹雪が終わる頃、先ほどまでいた中心部には巨大な数本の尻尾を持った狐がいた。
あれが【氷牙の狐王】エイスファンだな。
「いくわよ! シールドバッシュ・撃!・砲!・破!」
アヤネがシールドバッシュの三連発で注意を向けようと必死になっている。
エイスファンは、最初俺の方をみていたのだが……アヤネの存在が邪魔になったのかそちらに顔を向けた。
「ようやくこっちを向いたわね! ダブルヒット! エアスマッシュ! ブレインクラッシュ! フルスイング!」
アヤネは普段封印している棍棒技……つまり警棒攻撃まで使ってエイスファンの意識を向けさせるのに全力だ。
そして、そんなエイスファンがアヤネを向いたとき。
「っと!」
いきなり尻尾で潰しにかかってきた。
その後は、セオリー通りの引き裂き攻撃や尻尾の振り回し攻撃は堅実に盾でガードする。
隙があれば警棒で攻撃しているが……逆に魔法攻撃を受けることがしばしばあるな。
やがて、戦闘開始4分ちょっとで堅牢の壁がついに破壊される。
ここから先は自分のHPで受けていかなければいけないので、無理はできない。
回復役のゼファーもしっかり待機し始めたようだ。
「堅牢はさすがにもたなかったか……でも、ここからが正念場!」
威圧や威嚇を適宜使いながら一心にヘイトを稼ぐアヤネ。
5分が経ち、ついに物理攻撃組が投入される!
「さあ、行きますにゃよ! 風纏剣レベル5・テンペストスラッシュ!」
「灼熱拳!虎王撃・断!」
物理攻撃組によるアタックは確実にダメージを積み重ねている。
だが、ほとんどエイスファンには無視されているのが現状だ。
ときどき虫を追い払うように尻尾を振り回す程度で済ませてしまっている。
「リオンさん! どうなっているんですか!?」
「これが今までエイスファンを倒せていなかった理由にゃ! 物理攻撃はほぼ無効。魔法剣系も効果が薄い、火属性魔法も白光の翼では逆に消されてしまっていたのですにゃ!」
「それってダメダメじゃないですか!?」
「でも、テラのいる位置まで逃げると、なぜか追ってこなくなるにゃ! だから、情報だけはあるのに討伐実績がないのにゃ!」
泣き言を言いながらも、攻撃を続けるふたり。
もし、この世界にHPゲージなんてものがあったら、5%位は減ったかな? くらいだ。
そして時間になり、俺の出番がやってきた。
「全員、俺の魔法がいくぞ!」
「了解にゃ!」
「わかりました!」
「私はあまり離れられないから巻き込まないでよ!」
「大丈夫! 敵味方の判別はできるから!」
「あんな大きな腕に潰されたら吹っ飛ぶって言ってるの!」
アヤネも元気そうだし、始めるとするか。
〈汝は炎の化身なり。我が願いはその力の一部、その豪腕にて我が敵を焼き尽くすことなり。その力は汝の力、燃えさかる炎は精霊の力。解き放て、人知を超えた獄炎の拳、立ちはだかる者にその爆煙を!! イフリート・アーム!!〉
俺の呼びかけに応じて出現した巨大な炎の腕。
エイスファンの周囲を炎の鎖で固定して放った魔法だったが……。
「にゃんと!?」
エイスファンがその体を引きちぎるようにして鎖から逃げ出し、腕の直撃を回避。余波を浴びるだけとなってしまった。
「……ああ、これはマズいかな?」
今の一撃で、完全に俺が最大の脅威認定されてしまった。
エイスファンは長距離から飛びかかってきて、俺の体をかすめていく。
……俺だって素早さ上昇持ってるんだけどな!
慌ててアヤネとゼファーが、俺とエイスファンの間に入り直接的な攻撃は遮断してくれているが、今度は氷柱攻撃が多くなってしまった。
これでは詠唱時間を稼ぐのが難しいぞ!
そんな中、ミキとリオンも飛び込んできてくれて、辺りは乱戦となってきた。
「フート殿! なんとかイフリート・ブレスの詠唱をお願いしますにゃ!」
「わかった。20秒でいいから保たせてくれ」
戦場から少しだけ離れ安全を確保した上で、詠唱句を唱える。
「〈其方は炎獄の支配者なり。我願うはその力の一部、焼き尽くす炎の吐息を顕現する事なり。その力は火に宿りし総ての火の精霊たちが力。吹き抜けよ、獄炎の世界に在りし一瞬の空間。立ちはだかるものを焦がさんがため顕現せよ!! イフリート・ブレス!!〉」
かなり早口だったかが詠唱は成立したようで、周囲一帯を炎獄の炎が焼き尽くした。
そのとき、エイスファンが苦しそうな鳴き声を上げた。
「ゴォォォォン!!」
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