110.モンスター肉と氷狼狩り
「さあ、ご飯の時間ですよ~」
キャンプができたのでミキが食事を出してくれた。
外が寒かったこともあり、熱々の鍋である。
「ミキ殿? この料理にもモンスター肉は使っているのにゃ?」
「残念ながら使えなかったんですよ。いい食材が見当たらなくって……」
その一言を聞いてほっとする。
それから、食事は和やかに進行し(リオンも鍋の流儀を知っていた)〆の雑炊まで食べて満足である。
そして、ついにリオンが本丸に切り込んでいく。
「ミキ殿。これからもモンスター肉食材を使うのは控えてもらえないかにゃ?」
「え、リオンさん、モンスター肉はお口に合いませんでしたか?」
「あー、そういう意味ではないにゃ。吾輩たちは超絶高級品であるモンスター肉を食べ過ぎなんであるよ」
「……確かにそう言われるとそうかもしれませんね」
「それで、モンスター肉ばかり食べているとそれが基準になってしまうのが怖いのにゃ」
「そうですね、リオンさんの言い分もわかります」
「それじゃあ……」
「でも、私は旦那様においしい料理を食べてもらいたいんです」
「うにゃぁ……フート殿」
「わかったって。ミキ、確かにモンスター肉はおいしいし、それなり以上の量はある。でも、それだっていつかは切れて無くなるんだぞ」
「う……それは……」
「そういう意味でも、モンスター肉は節約しないか?」
「……はあ、わかりました。仕方がないのでそうします。アヤネさんも構いませんね?」
「私? 全然オーケーよ。私だって毎日モンスター肉は贅沢しすぎかなって思ってたし」
よし、これで、この話はクリアだな。
「でも、今回の遠征は普通の肉をあまり持ってきてないので、諦めてくださいね」
「……まあ、そういう事情なら仕方がないにゃ」
「ないものはなぁ」
「今日のドロップ品は?」
「氷狼の肉であるか。あれはちょっと扱いが難しいのであるよ」
「扱いが難しいんですか!?」
ミキの目が輝いた気がする。
最近のミキは、こんな感じになってきたよな。
「吾輩が聞いた話によると、そのまま焼いたり煮込んだりすると表面が溶けて食べられる味にならないのであるよ」
「ほうほう、それでどうすればいいんですか!?」
「あー、たしか、氷水で締めると聞いたのにゃが、時間までは聞いてないにゃ」
「ふむ、これは燃えてきますね。まずは焼き物に最適な締め時間を調べなくては」
「おーい、ミキ?」
「なんですか? 私これから忙しくなりますから用事が無ければこれで失礼しますね」
「構わないが、あまり遅くならないようにな。ちゃんとお風呂も入ってリラックスしておくこと。ちゃんと守れるか?」
「はい! 守ります! それでは行ってきます!」
「……ミキ殿は料理人が板についてきたにゃぁ」
「知ってる? ミキのスキルに【料理レベル6】が着いたそうよ」
「料理スキルはレベル5が限界のはずなのにゃがなぁ」
「おいしいものが食べられるのはいいことだが……心配になるな」
「いざとなったら止めなさいよ、旦那様」
「わかってるよ。しばらくはここで様子を見ているさ」
結局、その日は22時頃まで料理にハマっていたミキだった。
ちゃんとお風呂も入っていたし、きちんと睡眠時間は取ってくれたな。
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「今日は氷狼狩りにゃー」
朝、食事が終わった後、リオンが宣言した。
「氷狼狩りってどうするのよ。またテラとゼファーで追い込み漁?」
「それでもよいのですが、氷狼は細かい群れで生息していますにゃ。それなので、こちらからカチコミをかけますにゃ!」
「カチコミねぇ……そういえば、魔物やモンスターに子供っていないの?」
「それがいないのにゃ~。増えるところを観察していた学者たちの話によると、暗い霧が固まって新しい魔物が生まれるそうにゃ」
「ふーん。それなら気にせずぶっ飛ばせるわね!」
「アヤネさん……確かにそうですけど」
「にゃはは。ともかく、このキャンプを中心に道が続いている場所を適度に襲っていくにゃ」
「……そういえば雪が降り始めたらどうするのよ」
「その前に移動ですにゃ。いきますにゃよー」
テラとゼファーの鼻を頼りにモンスター狩りを始める。
実際、各群れは10数匹の塊だったので、それぞれにあわせて魔法を選ぶ。
初めての群れにはレベル7魔法【イフリート・アーム】を試し撃ちしたが、完全にオーバーキルだった。
だが、白光の翼では範囲攻撃に向いておらず、炎属性には有効な範囲魔法がない。
リオンたちと相談した結果、小さな群れの場合はサンダーレインでダメージを与えて生き残りはミキやリオン、アヤネが倒す。
大きな群れではイフリート・アームで叩き潰してしまうと言う事になった。
「準備は完了したにゃ~。行動開始にゃ」
「最初は小さな群れだな、サンダーレイン、いくぞ」
「任せたわ」
「いくぞ、サンダーレイン!」
氷狼はサンダーレインを受けても生き残っている。
「耐性があるのか単純に威力が足りてないのか」
「判断は後だわ。さあ、殴り倒すわよ!」
焼け残った氷狼は、アヤネの一撃でも倒せる程度の体力しか残っていなかった。
俺もフレイムランスで手伝いながら残党を倒していく。
「……なんていうか、ひとつの群れだと味気ないわね」
「氷狼は大きな群れを作らないのが習性ですにゃ。諦めるですにゃー」
その調子で20個ほどの群れを撃破。
300匹程度の氷狼を倒して今日は終了かな。
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