壊れていたのは、私、壊したのは、、誰?

RiRi-a

第1話 小さな幸せと貧困と別れ

小さい頃は、とても貧乏で、祖母と祖父とくらしていた。


母は、施設で住みこみの仕事をしていた。


父は、女の子供はいらないとあっさりと母を捨てた。


私の回りの団地と呼ばれる地域は、母子家庭、貧困者が多かった。


小さな公園があり、毎日のように私はかなちゃんとゆうきくんと3人でいつも遊んで楽しかった。


ただ、ゆうきくんとかなちゃんは、親から虐待を受けていた。かなちゃんは、お母さんから、ゆうきくんは、父親から。



だから、3人で遊ぶときは今では考えられないほど、夜遅くまで3人いつも一緒にいた。


ある時、ゆうきくんの顔が腫れていて、かなちゃんと私で、顔を冷やしていると、スーツを着た女の人が声をかけてきた。


女の人は優しそうな人で、

「どうしたのそのお顔?」って声をかけてきた。


ゆうきくんは、「転んだ」

と答えた。


私は、えっ?て思ったけど黙ったままゆうきくんの頬を冷やしていた。


女の人は、「そっか、気をつけてね」っといって、ゆうきくんの家の方に歩いていった。


私は、「なんで、嘘ついたの、お父さんにたたかれたんじゃないの?」って言うと


ゆうきくんは、「ママと離れたくないから」と笑顔で言ってきた。


かなちゃんは、「あの人達がくると、お母さんが怖いから嫌い」っと言ってきた。


その頃の私には、その意味がわからなかった。幼すぎて、わからなかった。


私の楽しみは、補助輪のついた自転車で、月に一度会える母に会うこと。


補助輪のついた自転車で30分ほどある施設に行き、母が帰り際にくれるゆで卵がすごくおいしくて、頭をなでてもらい幸せだった。


小学1年生になり、私達は、相変わらず、仲がよかった。


ただ、かなちゃんの腕の痣は増えていっていた。


この頃から、かなちゃんもゆうきくんも私の家でお泊まりすることが多くなった。


白ご飯とお味噌汁、私の家の毎日のご飯、たまに、白ご飯だけ、でもかなちゃんとゆうきくんは、嬉しそうに食べてくれた。


ある日玄関が騒がしくてのぞくと、かなちゃんのお母さんがいた。


かなちゃんを、迎えに来たんだ。


私の後ろにいた、かなちゃんは、私の手を握りしめた。


祖母が「お母さんが迎えに来たよ」っというと


かなちゃんは、「うん、わかった」

って言って私の手を離した。


玄関でかなちゃんが、「ゆあちゃんまたね、ありがとう」って振り向いた。


私も「かなちゃんまたね」って言った。


それが、最後に見た、かなちゃんの笑顔だった。


かなちゃんは、次の日から、学校に来なくなった。


ゆうきくんとかなちゃんの家に行くと、かなちゃんのお母さんが、「あの子病気だから」と言われた。


風邪引いちゃったんだと私は、思って家に帰った。


1週間ほどたった夕方、かなちゃんの家の前で救急車が鳴り響いていた。


なんだろうと思い、近所の人達がてでくる、私も走って見に行った。


かなちゃんの家から、真っ白になったかなちゃんが運ばれていた。


私はわけがわからなくて、その光景をただみるしかなかった。


それから、数日たった日、祖母が泣きながら、私とゆうきくんに、「かなちゃん、亡くなっちゃったのよ」って伝えてきた。


私は、亡くなるの意味がわからない


ゆうきくんが、「死んじゃったんだね」ってつぶやいた。


ゆうきくんが、私の方をみて、「死んじゃったんだよ、、もうかなちゃんと遊べない。」


私は意味が理解できて泣いた。


病死、 

「お金がなかったから、病院に連れていかなかった。」とかなちゃんのお母さんは言っていた。と近所の人が言っていた。


私とゆうきくんは、その近所の響き渡る噂を聞きながら、公園で、2人でかなちゃんの似顔絵を土に書いていた。


そして、私は、小学2年生になった。


その頃から母がよく家に帰るようになってきた。


私は嬉しくて、一緒に眠っていた。


次の日、日曜日、、母が家の前の道路にたち私を手招きした。


車が1台止まり。車の窓から優しそうな男の人が「おはよう」っと声をかけてきた。


私は、何がなんだかわからずにいた。


母は、「この男の人は、あなたのお父さんになる人よ」っと言ってきた。


それを聞いてからあっと間に、私の転校が決まった。


住所を書いた紙を私は渡しにいった。するとゆうきくんとゆうきくんのお母さんがでてきた。


ゆうきくんのお母さんが私を抱き締めて、

「今までありがとうって、ゆあちゃん、おじいちゃんとおばあちゃんに伝えてね。ゆあちゃん、ゆうきを守ってくれてありがとう。」


ゆうきくんのお母さんも顔が腫れていた。


「これは、3人の秘密よ、ゆうきがいる場所がかいてある紙がはいってる、誰にもいっちゃだめよ。」とゆうきくんのおかあさんが、お守り袋を私の首にかけた。


ゆうきくんが、笑顔で「僕ママと逃げるんだ」っと言ってきた。



私は嬉しくて、お守り袋をにぎり、うなずいた。


寂しさよりも、、ゆうきくんがお母さんを見上げて笑ってる顔が嬉しかった。


そして私は転校した。

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