このゲームを百合ゲーとするっ!
一山幾羅
第一対決
Introduction
この世界には、二人の魔女がいました。
美しく、可憐な魔女達は、それはもう互いに仲睦まじく、まるで姉妹のように想い合いながら生きていました。
かと思えば、時にはお互いに激しくぶつかり合い、切磋琢磨してそれぞれを磨き上げる好敵手のような間柄を見せることもありました。
想い、想われ。憎み、憎まれ。好み、好まれ。嫌い、嫌われ。そして、認め、認められ。
そんな風に、中々複雑な関係性で結ばれた魔女達でしたが、ただ一つ確かなことは、時にどんな関係にも変化するとはいえ、お互いのことをそれはもう誰よりも、自分よりも大切に想っているということでした。
さて、そのようにどこまでも愛らしく麗しい、そんな魔女達ですから、当然世界の方も彼女達を放ってはおきません。
美しい魔女達の周りには、彼女達を世界の全ての害悪から守護するように、これまた魔女にも負けず劣らずに眉目秀麗にして、肉体も精神も強靱でしなやかな、高貴、高潔、高尚を絵に描いたような騎士達が集っていました。
騎士達は魔女達のことを心から敬い、慈しみ、そして何よりも彼女達のことを愛していました。
魔女達をこの世界に存在するあらゆる悪意から守るためならば自分の命すら厭わない、それほどの覚悟で騎士達はこの優美に咲き誇る花のような魔女達に恋い焦がれていました。
これは、そんな魔女達と騎士達との間でしとやかに燃え上がるような熱情と純愛を描いた、甘く切ない恋物語――。
――の、はずでした。
しかし、この恋物語にはたった一つだけ、思いがけない
騎士達から想いを寄せられ、愛される二人の魔女。
ですが、そんな魔女の内の片方は、実は魔女になることなど望んではいませんでした。
そして、そんな魔女になりたくない彼女の本当の望みは、自分も騎士となることでした。
自分も騎士となり、他の騎士達と同じくもう一人の魔女を愛し、恋い焦がれ、彼女に
そうして、いつかその花のほころぶような笑顔を自分だけに向けてもらうこと。
それこそが、魔女になりたくない魔女の真実にして心からの願望でした。
そして、そんな
――さて、それでは始めていきましょうか?
美しい魔女と、騎士になりたい魔女と、二人を取り巻く騎士達による、世界の全てに刃向かいながら駆け抜けていくような、まったくおかしな
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