流行りの異世界転生ではなく推し作曲家の心に転生しました!
月白藤祕
第1話 はいはい、どうせ流行りの異世界転生でしょう?
早坂
都会で生まれ育った彼女には、何もかもがなくなってしまったように感じました。ここはどこなのか、夢にしてはやけにリアルだと思い、彼女は一旦その場に座った。
「私は一体どうなってしまったんだろう……あ、もしかしたら、最近流行りの異世界転生とやらに巻き込まれたのかも!でもトラックに轢かれてないな……」
そんな独り言を呟きながら、何故かものすごく疲れたと感じてそのまま寝転がった。都会にいると忘れてしまう大きな空に思いを馳せ、彼女はそのまま目を閉じた。
次に目を開けると、すこしだけ辺りが暗くなってきたように思いました。夕暮れ時のようだが、よく見ると太陽がない。おかしいなと彼女が体を起こした。
「おや、気が付いたかい?」
そう話しかけてくるのは、いつの間にか横にいた誰かだった。彼女は驚き、勢いよく立ちあがって、その男と距離をとった。しかしよく見ると、彼女の知る人物であった。
「滝…本…さん?
「そうだよ。僕の事知っているのかい?」
「知ってます!ファンです!ずっと追いかけてます」
彼女はまた少し距離をとりながら、推し作曲家の滝本と話す。滝本は何故距離をとられているのだろうかと思いながら、それはよかった、嬉しいと言ったのだった。
「ところで滝本さんはここが何処なのか知ってますか?」
「知ってるよ。ここは僕の心の中だよ」
「心の中!?」
「そう、心を反映して作った世界というのか…作詞をする時はここに来て、イメージを得てから作るんだ。だから僕にとっては大事な場所だね」
「あの神曲はこの場所のおかげで、できていたんですね!そんな場所に来られて嬉しいです!」
早坂は目を輝かせて、滝本を見たのだった。滝本は驚きつつ、戸惑った顔をして言った。
「やはり君は、この心の中にいてはいけない人のようだね。どこから来たのか分かるかい?」
「え、私は気づいたらここにいたんです。昨日は自分の寝室で寝てました!」
「なるほど…普通に生きている人間を自分の心に呼んでしまったのか……困ったな」
そのまま滝本は黙り、考え込んでしまった。早坂は自分が推し作曲家の心の中に来てしまい、帰る方法がわからないことしかわかっていません。どうしようかと不安な気持ちが押し寄せるが、今は滝本の考えが纏まるのを暗くなる空を見ながら、待つことにした。
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