第40話 審査

「君達のデビューを懸けたテストの審査をやらせてもらうヒナタだ。よろしく」








「よろしくお願いします!!」







「おう。みんな元気が良くていいな」






「すげえ、本物のヒナタさんだ」





「かっけえ。。。」





「やっぱりオーラがあるなぁ」








周りから漏れるそんな感想に僕も同意せずにはいられなかった。







「さあ、みんな準備はバッチリかな?」







ヒナタさんが僕がいつかテレビで見た時と同じ笑顔を浮かべながら僕たちに問いかける。








「…自分達のグループは今日まで精いっぱいやってきたつもりです」







練習生が黙りこくるなか、僕は勇気をだして声をあげた。






一緒に組んだメンバー、、







ーーケンとソウマの顔を交互に見る。







「そうか。良い答えだ」







ヒナタさんが僕の答えに頷く。







「君のグループ名と名前は?」







「グループ名は僕達を応援してくれる人にとっての希望の光になりたいという思いを込めてShineです。…僕の名前は香流詩音といいます」








「詩音君。では自信がありそうな君のグループから見ることにするよ」








「僕達..からですか?」







「ああ、君達からだ」







予想外の展開に思わず固まる。






「おいおい、トップバッターかよ、、」





「わ、悪い、、」






「順番は関係ないだろ。ただ全力でパフォーマンスすればいいだけだ」






そうだ。ソウマの言う通りだ。






何をいまさら怖気ついてるんだ。







自分でも言ったように僕達は今日まで精いっぱい、全力でこの日の為に練習に励んできたじゃないか。








パフォーマンスの順番なんて関係ない。







「分かりました。」






それから一息置き、、






「僕達3人が作った歌は、テンポが良くて踊りたくなるようなポップな曲調で、ダンスもその曲調に合わせた元気で爽やかさを感じさせるようなものにしました。曲名は『Magic』です。これはこの曲を聴くと、魔法にかけられたように気付けば勝手にリズムに合わせて体を動かしてしまうという意味が込められています…」






ただ全力を尽くすのみ。







* * *







「はぁ、はぁ、ありがとうございました」






「……」







パフォーマンスを終え、僕達は息を整える。








僕達は全力で楽しみながら今まで踊った中で一番最高のパフォーマンスを披露できた気がした。









しかし依然として審査員のヒナタさんと社長は沈黙している。








その沈黙が一体どんな意味を持っているのか僕には分からなかった。








ただその重い沈黙の中で僕達は言葉を待つ。






やがてその静寂を切り裂いたのは拍手だった。







「…素晴らしい」








呆気に取られている僕達に、やがて響いたヒナタさんのその声に思わず口角が上がるのを感じる。







メンバーと顔を見合わせる。


 





みんな同じように口角が上がっていた。

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