第36話 分からない
「家ついた?」
数時間前に僕がめぐへ送ったメッセージの返信はまだ来ない。
嫌な予感がする。
不安になってメッセージを打ちかけて消す。
しつこい男だなんて思われるのは御免だ。
疲れて寝てしまったのかもしれない。
明日には来るだろう。
僕はそう思う事にして携帯を置いた。
ーー数日後
「おかしい。絶対におかしい」
「いきなり何?」
「おかしいんだよ」
「だから何が!お前がおかしいよ!」
ケンに呆れたようにそう言われ、僕はめぐから数日間返事がない事を話した。
「忙しいんじゃないの?」
「いくら忙しいとはいえ一言くらいは返信できるんじゃ、、それにこんなに返信が返ってこなかった事なんて今までなかったし…」
「電話は?」
「出ない」
「家には?行った?」
「……めぐの家知らない」
「は?!彼氏なのに?!じゃあ職場とかは?」
「知らない、、」
「…お前、本当にめぐちゃんの彼氏なの?」
「……」
そう言われると何も言い返せない。
考えてみれば僕はめぐについて知ってる事があまりにも少なかった。
メッセージを遮断されれば僕がめぐへ干渉する方法は皆無だ。
家に会いに行くことすらできない。
どうして僕はめぐの事を好きなのに知ろうとしなかったんだろう。
何も知ろうとしなかった僕にめぐはしびれを切らしてしまったんだろうか?
だから連絡も絶って、、
分からない。
きっと連絡が途切れたのには何か訳がある。
前もそうだった。
めぐと突然連絡が途切れて半年間会うことができなかった時。
あの時、僕に対する信用を得られなかっためぐは連絡をしてこなくなった。
めぐと最後に会った僕らのライブに招待したあの日。
なにか決定的なできごとがあったのだろうか?
連絡を途切れさせる程の何かが。
分からない。
何も分からないよ。
めぐ、言ってくれなきゃ分からない事だってあるんだよ。
ちゃんと言葉にしてくれなきゃ、、
どうしてそうやって君はまた、僕の前から何も言わずに消えようとするんだ。
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