第227話 感謝の気持ち

 お昼ごはんの時、ちょっと早く部屋に行くと、陽太は寝ぐせでボサボサの頭でむっくりと起きた。


「……はよ」

「おはよ。御刀を返しに来たんだ」

「あーありがと。お母さん来たもんね」


 そのセリフで御刀が、母さん→師範→おれのルートで届いたことを知る。

 わざわざ師範を通したのは、何故かな。

 でも、母さんから渡されるより、師範からの方が確かに受け取った気がするから、これで良かったと思った。


「なあ、陽太。ありがとうな」

「なんだよ、急に」


 ちょっと目を開いて驚いた。

 そんで照れた。

 可愛いな、陽太。


「ここに呼んでくれてありがとう。おれ、ここに来てほんとに良かった。師範にも合わせてくれて、本当に嬉しいよ。ありがとうな」


 おれ、人に向かってこんな風にお礼言ったことなかった。

 でも、これだけはちゃんと言いたかったんだ。言いたくて仕方がなかった。

 もう、ぎゅーってハグしたいくらい感謝してる。

 いつまでいられるか分からないけど、帰れなくなってもそんなに淋しくないくらい、ここが好きだ。

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