第224話 生き甲斐

『保険や補償についてはリンクを見てもらうとして、ここで話したいのは生き甲斐についてだ』


 生き甲斐? 身体の不自由な人の、生き甲斐?


『成人の仕事を持つ人間のほとんどは、仕事をしている時間が人生の大半を占める。趣味を生き甲斐にすることのハードルは高めだ。

 先程仕事に求めるものに、趣味や好きなものを入れなかったのは、それによって収入が低くても良いと思わない為だ。

 しかし、自分のしたことに満足が得られない人生は辛い。


 向いている仕事を選んで欲しいのは、成功体験を積み上げやすいからだ。他者に自分を認めてもらうことは、生きる力につながる。


 さて、働くことができない人は、ぜひ他者とつながりを持って欲しい。その経験や感想、また意見は貴重なものだ。他の人が持ち得ないものを君は持っている。

 そしてそれが収入になる場合もあるし、生き甲斐につながるだろう』


 例えば足を一本失ったら、立ってやる仕事はキツくなるだろう。うるさい場所や目まぐるしい環境では、中村さんはきっと働けない。

 程度によるけど、例えば寝たきりだったらやれることはもう、とても少なくなる。


 自由なのは脳だけか。

 いや、それさえも不自由な人はいると、うさ衛門先生は言うだろう。

 それでも生きていけるほどのモチベーションを作って欲しいんだな。


 難しいな。


『さて君たちは働きたいだろうか?』


【働きたい】【働きたくない】


 どっちだろ? ってか、そっから?

 そりゃ働かなくてもいいなら働かないだろ。つまり今と同じってことだもん。


【働きたくない】ポチー!


『働かない方法はある。それは資産をたくさん持つことだ』


 ……その時のおれの気持ちが分かるだろうか。

 そんなの知ってるよ! お金持ちが働かなくていいなんて知ってるよ!

 そうじゃないからどんな仕事しようかなって考えてるんじゃん。


『資産を持つ、資産家になる為の方法は、投資、発明、相続する、だ。相続から説明しよう。


 結婚の時にも話したが、人は死ぬと遺族に対して相続が発生する。また法的に、指名した人間にさせることもできる。遺産目当ての婚姻や養子の相続は、調査がある。


 次に発明。これは発明自体ではなく、特許によるロイヤリティが富をもたらす。


 最後は投資だ。

 元手になる現金が必要だが、才能がある者はこれを、株式や不動産などを売買し利鞘を得る。金額が多いほどリターンは多く、リスクも高い。また投資先からの利益分配もあり、働かない資産家はこうした投資により不労所得を得て生活することが多い』


 リンクは投資のシュミレータ、投資の種類など。

 難しそうだけど、後でちょっと見ておこう。


『なお、働かない資産家は少ない傾向にある。何故なら、成功者にとって仕事は面白いものだからだ。興味ある研究に投資することも、広い意味では仕事と言って良いだろう』


 そうだ。

 おれは面白い仕事がしたい。

 一生懸命打ち込めるような、頭をフル回転して臨むような仕事を。

 そういうの、夢かな。

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