第220話 働いて給料をもらう

 しかしやらないという選択肢はない。

 表示されているのは、うさ衛門先生と右横に目盛りのついたバー。

 続きを確認する▼ボタンだ。ゲームみたい。押すとうさ衛門先生が言う。


『働くって何だろう?』


【なりたい自分になる】【できることで稼ぐ】


 二択らしい。二つのボタンが押してくれとばかり光ってる。

 知ってるぜ、前フリあったもんな! これは【できることで稼ぐ】だ!


『どちらも正解だ。そして、稼げないのであればどちらも不正解となる』


 あれ?


『人は生きていくのに必要なものを、大抵の場合お金で買う。仕事とは、つまり生活するための手段だ。自分の時間、体力、能力を対価に賃金を得る』


 お金の絵と人型の間に右左矢印。

 まあそうだよなという話。


『だから、生活が成り立つ賃金をもらわなければならない。それがいくらになるのかは、その時の相場や、お金の使い方による』


 そりゃマハラジャとおれじゃ、使うお金の量は違うだろう。今回はわりと当たり前だな。


『では、生活できないお金しかもらえない仕事をするようになったときは?』


【ダブルワークをする】【退職する】

 えっ? そりゃ辞めた方が良くない? だって何のために働いてるか分からんじゃん。【退職する】ポチー!


『これは転職にも当てはまることだが、給料制度には1ヶ月のタイムラグがあるので、合わないと感じたときや、人間関係の悪化で辞めようとした場合、そこまでの給料はすぐには入らない。

 また、次の仕事が決まって1ヶ月経つまで収入が途絶える。


 やむを得ない退職への保証として、失業給付金という制度があるが、自分から辞めた場合3ヶ月経たないともらえない。

 解雇された場合もすぐ手に入ることはないので、大事なのは貯金だ。


 人間はお金がないと生きていけない。学生のうちにするバイト、またもらった給料を少しずつ貯金しよう。それが自由を担保する』


 下にリンクが貼ってある。今の話の詳しい説明がたくさん書いてあった。


 おれ達は今お金を払わずに生きてる。

 ごはん食べたり、服を着たり、習い事したりはすべて親がお金を払ってできているんだ。

 親にお金がなくなったらどうなるのか急に怖くなる。

 今まで貧乏だと思ったことなく生活してきたけど、それって母さんが仕事辞めずに働いて、ずっと給料もらってたってことだよな。

 すごい。

 嫌になったことなかったのかな?

 それとも、あったけど我慢してきたんだろうか。

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