第219話 お勉強
しかし、読んでみると最初から『もうめっちゃすごくてー』とか『ヤバすぎこれ』とかが乱れ飛んでて、おまえの頭がヤバすぎなんじゃ! って思った。
これ、推薦文になる気がしない……
『不必要だと思ったところを削っていくと、整理できて良いですよ』
「なるほど」
興奮して意味不明な言葉をガンガン消していったら、あーら不思議、二万文字が五千文字に! おれ、一体何をモコや参にしゃべったのか。すまん。
それからまた何時間かかけて、移動させたり書き直したり、やっぱり消したりしながら、読書推薦文は出来上がった。
送信できた後、放心してしばらく転がった。慣れないことをやると、人間は疲労する。
でも、面白かった。
これを読んだ人がもしいたら、興味持ってくれるかなあ、とか考えながら、自分が感激したところをぜんぶ拾っていると、もう一度あの世界に行ったような気がして。
次は続編だ。
待ってろよ、万全の体調で読んでやっからな!
+
晩ごはんが終わると、師範が言った。
『明日から稽古を再開する。ジムで運動する話はなくなったゆえ、以前と同じくロードワークをこなすように』
やった。
記者の協定で安全になったのかな。嬉しい。
触っていないとすぐに離れていってしまう。まだ日が浅いから特に。
自分のものにするためには何年もかかるだろう。ずっとここにいられる訳じゃないし、残りの時間でどれだけ教えてもらえるんだろうって思ってたから。
明日は朝早い。
風呂入ったらすぐ本読もう。今度はどんな話かな。
『滝夜さん、研修のお勉強して下さい』
しまった忘れてた。
そういえば。
『今回は少ないですから、すぐ終わりますよ』
「はーい……」
普段から1オクターブ声が下がったのは仕方ないよな。
しかし今のおれは頑張れる。
本は読みたいけど逃げないし、明日は稽古だし!
アプリを開いて、仕事のアイコンをタップすると、うさ衛門先生が現れて和む。
久しぶりだなあ。
『やあこんばんは。仕事をするということはお金を稼ぐということ。お金について勉強する』
なんか言い切ってるけど、それって夢無くない? イコールじゃないにしても、ちょっと辛くない?
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