第131話 怒濤のお片づけ
「撤収~~~~!!」
母さんの号令一下、バーベキューは終わりを告げた。
こっからは怒涛の片付けだ!
片付けは準備の倍かかる。
持ってきた時はセットになっていたコンロも、網と炭とを分けてそれぞれ洗ったりしまったり、そして再びセットにしなくてはならない。
使った皿や箸やコップも、それぞれ分別回収、のち洗ったり捨てたりだ。
食材は余さず腹に入れたおれ達だけど、汚れ物はたくさん出したのだ。
大鍋や炊飯器は洗わなくちゃいけないし、出したイスは足を拭かなきゃ家に入れらんない。
よく食べた分は働かねば!
母さんや小猫は指示してくれたけど、慣れないおれ達はやっぱり時間かかった。
「はい、お疲れさまー!」
の声がかかって、やっとかーって力が抜けた。
「あー、楽しかったけど片付け大変」
「美味しかったけどねー」
「ってか、アイツいなくない?」
「あいつ?」
「はるたん?」
「違、いやはるたんもいないけど細川ー!」
「あ、ホントだ」
いない。
いないなーとは思ってたけど気にしなかった。
そこへ母さんが言った。
「みんな、良かったらちょっとだけお寺行ってみない?」
「お寺?」
「お風呂入りたい~!」
「どうしてですか?」
煙と油臭いおれ達は、もう本気で風呂に飛び込みたい。
「星が見れるよ?」
星?
「天体観測だよ。行く?」
「行く━━━━━━!」
行かないなんてヤツいなかった。
疲れた疲れた言ってたのをすっかり忘れて、おれ達は寺まで走った。
「元気だな~」
母さんは走らない。
寺なんかすぐそこなのに。
門をくぐると、広場のど真ん中には細川くんがいた。
腰に手を置いて、空を見上げてる姿がなんだかサマになってる。
「チッ」
舌打ちして踵を返し、すぐ後ろに設置された望遠鏡を覗く。
「あれ、みんな来たねえ」
望遠鏡は他に二つ設置されている。
その後ろから、意外な顔をして中村さんが笑った。
「細川くんが星だけ見たいって言うから、お寺にお願いしてたんだよ」
そうだったのか。
星が好きなんだ。人は見かけによらないな。
「おまえらちょっと見たら帰れよ」
「まあまあ」
「言われなくても帰ります~」
確かに、ずっとずっと見るほど興味はなかった。ていうか、細川くんは何時間見るの?
「要らん煙立てまくりやがって」
細川くんはそう言って、また舌打ちした。
それは確かに、肉を焼く煙はともかく、キャンプファイヤは余分だったかもしれないと反省する。
「細川くんはいつまでいるの?」
「朝まで」
「ええ~~~!!」
「うっさ」
うるさくてごめん。でも本腰を入れた観測なんだね、これはあんまり邪魔できん。
「分かった、あんまりうるさくしないようにするよ」
「そうして」
そうします!
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