第二十五話 対マン勝負! 技を駆使してバトれ
※この章は、アドベンチャーゲームブック方式となっております。指示に従ってパラグラフの番号を選択して読み進めていき、四人の探索者と
【一】
シクヨロたち四人の探索者はいま、「技」の試練に挑戦すべく、それぞれが仲間たちの姿にそっくりな
・マルタンが偽ヴェルチと戦う … 【四】へ
・ヴェルチが偽アイシアと戦う … 【六】へ
・アイシアが偽シクヨロと戦う … 【十】へ
・シクヨロが偽マルタンと戦う … 【十五】へ
・すべての戦いに勝利したとき … 【二十】へ
【二】
「あれれー? いったいどこへ行くのさ、
後ろを振り向いたシクヨロは、この部屋の出口を探そうとして壁面を調べはじめた。しかし、石とも鉄ともつかぬ未知の材質でできたこの部屋の壁面には、アリの這い出る隙間も見当たらない。
(……ちくしょう、万事休すか)
「心配しなくても、
つぎの瞬間、シクヨロの目に飛び込んできたのは、
【三】
ウサギを全力で仕留めるライオンのごとく、ヴェルチは渾身の力を込めて
「なにっ?」
しかしなぜか、ヴェルチの
「あー、ヴェルチさん! いま、私のことドジな駄エルフって思ったでしょ? おあいにくさまです♪」
それは実力なのか、たんなる偶然か。偽アイシアは余裕たっぷりに背中の太刀「
【四】
少年
「さて、マルタン。キミの魔法の詠唱は、私の
「それじゃ、試してみる? ヴェルチ」
・「
・「
・「
【五】
「かっ、かっ、かっかっかかかか……」
マルタンが
「かわゆいぃぃぃぃーーーーん! わたしのネコちゃぁぁぁぁーーーーん!」
偽ヴェルチは、持っていた
がぶ
勝負は一瞬だった。その場に倒れこんだ偽ヴェルチに、元の少年の姿に戻ったマルタンが、口元を拭いながら言った。
「ふう……。できれば、魔法で勝負したかったけどね」
マルタンは勝利した! 【一】へ戻り、ほかの者の対決へ進め
【六】
元・王国魔獣騎士団『
「ふふっ、ヴェルチさん。私にだったら、カンタンに勝てるとか思ってません?」
「カンタンとは思ってないよ。どんな相手でも、
・自慢の
・
・持ち物を探って、使えそうなアイテムを調べる … 【十七】へ
【七】
「えいっ!」
覚悟を決めたアイシアは、太刀を構えてそのまままっすぐ偽シクヨロに向かって斬りかかった。
「ぐあっ!」
すると偽シクヨロは、なんの抵抗をすることもなくあっさりと倒れた。三十年ものあいだ、スライムのような雑魚モンスターを狩りつづけてきたアイシアにとって、偽シクヨロはどのモンスターよりも弱かった。
「よくやったな……。お前の、勝ちだ。……ぐふっ」
「……えっ? もう終わり、ですか?」
正直、今後の冒険の先行きが逆に不安になってきたアイシアだった。
アイシアは勝利した! 【一】へ戻り、ほかの者の対決へ進め
【八】
マルタンは「
「う、うそだろ?」
「やはり、私のほうが数段速かったな。マルタン」
呆然と立ちつくす少年に、
【九】
「あっ!」
不意をついたシクヨロは、あさっての方向を指差しながら大声を上げた。正直、いくらなんでもこんな古典的な方法に引っかかるわけないと内心思いながらも、マルタンを見ると
「えっ? なになに?」
なぜか、めっちゃ引っかかってるマルタン。視線が横を向いたままのマルタンの手から、シクヨロはまんまと
「へへっ、チョロすぎだな
ジンジャーを手に入れ、ご満悦のシクヨロ。だがマルタンは、そんな彼を見てもなぜか平然としている。
「あ、それ注意したほうがいいよ。ジンジャーはぼく以外が持つと」
「んあ?」
ピピピピピピピピピ……
シクヨロが手にしていたジンジャーが、なにやら奇妙な電子音を発した。そしてつぎの瞬間、凄まじい電撃がシクヨロを襲った。
ババババババチッッッッ!
シクヨロは、ジンジャーを手に持ったまま黒焦げになった。
「あまいね。だから言ったでしょ? お・じ・さ・ん」 … 【十四】へ
【十】
和風ハーフエルフの
「さあ、アイシア。どっからでもかかってきな! オレはこう見えて、わりかし
偽シクヨロはボクシングのファイティングポーズをとり、シュシュっと拳を振るってみせた。
「……えーっと、いちおう、本気でやっていいんですよね?」
・背中の太刀「
・戦いを避け、なんとか話し合いで解決できないか試す … 【十六】へ
【十一】
マルタンは、「
「……あれ?」
だが、ジンジャーは突如としてその動きを停止した。動揺するマルタンは、やがてひとつの結論に至った。
「まさか……
なんということだろう! これまでに結界魔法を使いすぎたマルタンは、
「
それが、マルタンがこの世で最期に聞いた
【十二】
ヴェルチは「
「ウオリャアアアアッ!」
ヴェルチが叫び声を上げると同時に、彼女の
「きゃっ!」
すると、ヴェルチの胸当てが太刀の刀身に当たり、驚いたことにそのまままっすぐ跳ね返ってきたのだ。
「ぐあっ!」
なんと、胸当ては
「ヴェルチさん? ……えっと、あのお、私の勝ちでいいですか?」
すっぽんぽんのまま気絶したヴェルチに、偽アイシアは申し訳なさそうに言った。 … 【十四】へ
【十三】
「あーマルタン、
そう言いながら、シクヨロは懐に手を入れた。
「は? なんのこと?」
チュッ♪
尻尾を掴まれ、じたばたと暴れながら、そのネズミは小さい声で鳴いた。 … 【十九】へ
【十四】
残念ながら、この探索者は
【十五】
迷宮探偵・シクヨロは、探偵社の相棒でもある十二歳の少年
「あのさあ、
「そうかな、
・そう言うが早いか、百八十度向きを変えてダッシュで逃げる … 【二】へ
・マルタンの気をそらし、彼が手にしている
・懐を探り、なにか使えそうなアイテムがあるか調べてみる … 【十三】へ
【十六】
「あのー、
アイシアは、偽シクヨロに向かって話しかけた。
「なんだよ」
「ここで命がけで戦っても、お互いのためにならないと思うんですよね。ここはひとつ、引き分けってことにしませんか?」
「ああん? 引き分けだと?」
「はい。私をこの部屋から無事に出してくれれば、こっちも危害を加えませんから。ウィンウィンで行きましょうよ」
「ウィンウィンか。んー、まあ悪くねえな」
アイシアの提案を、偽シクヨロはあっさりと
「よかった! じゃあ」
アイシアは太刀を背中にしまい、右手を差し出した。偽シクヨロは、微笑みながらその手を握り返す。しかし偽シクヨロは、アイシアの手を握ったままひねり上げ、彼女をその場に押さえつけた。
「きゃっ、痛い! なにするんですか!」
「残念だけどよぉ、オレも仕事なんだよ」
そう言うと、偽シクヨロは懐から一本のナイフを取り出し、アイシアの眼前にかざして見せた。
「ウソ……。丸腰だって言ってたのに」 … 【十四】へ
【十七】
ヴェルチは腰に下げた荷物入れの中から、なにかの包みを取りだした。
「ほうら、アイシア。美味しいお肉だよー」
それは、さきほどのガーゴイルが作った肉料理だった。ヴェルチは、食べずにとっておいたその肉を、偽アイシアの眼前に放り投げた。
「うー、がるるる!」
肉を目にした偽アイシアは、四つんばいになって駆け寄ってきた。そしてしばらく、くんくんと丹念に匂いを嗅いで安全を確認すると、その肉をムシャムシャ食べだした。
「ハフハフハフハフハフハフ」
「おお、
ヴェルチはそう言いながら、おいしそうに肉を頬張る偽アイシアの頭をなでた。
「くぅーん♥」
「アイシア……。なんかやばいぞ、キミの
ヴェルチは勝利した! 【一】へ戻り、ほかの者の対決へ進め
【十八】
比較的、初歩の魔法である「
「マルタン、まさかスピードアップだけで私に勝てると思うなよ?」
だが、マルタンにはもうひとつの作戦があった。
「これ、あんまりやりたくないんだけど……」
そう言いながら、マルタンはつぎの瞬間、
【十九】
「うわああああああああ! ネズミいやああああああああ!」
ネズミを見た偽マルタンが、大声で泣き叫んだ。いつもはクールで生意気な
「ほおれ、お友達だぞマルタン」
シクヨロはそう言って、ネズミを偽マルタンに向かって放り投げた。ネズミは、偽マルタンの顔にダイレクトに張りついた。
「ひゅーーーー」
ネズミの抱擁を顔面に受けた偽マルタンは、その場で直立不動のまま気を失った。シクヨロは、そんな彼を憐れむように言った。
「マルタン。おまえは赤ん坊のころ、寝ているときにネズミに耳を
シクヨロは勝利した! 【一】へ戻り、ほかの者の対決へ進め
【二十】
シクヨロたち四人の探索者たちは、見事に「技」の試練を乗り越えた。倒れた
「おい、そこのお前。ちゃんと解いたか? ズルしてないだろうな」
「シクヨロさん、だれに向かって言ってるんですか?」
続く
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