第25話 ヴェインランドレポート
レーゼ
他の人が忙しいのでワタシがSDD作戦後のヴェインランドの状況を調べることになった。といっても予想はついている、たいして何も変わってないだろう。
あんなボロボロの発電所が無くなったところでヴェインランドで電気が通ってるところなんて都市部だけ、しかも限られた軍隊の上層部の地域だけだ。他のところには電気なんてものは通っていない。
ヴェインランドは沿岸部はスラム、あとはほとんどが砂漠だ、そして砂漠を超えると氷山と氷河、文明を築くにはあまりにも厳しい環境だ。
ヴェインランドはおよそ1万年以上、ほぼまったく進歩していない。常に内戦状態であるというよりも、未だに「すべての人間がすべての人間に対して狼である」っていう状態から何の進歩もしていない。
他の文明が存在しないで、世界にヴェインランドだけが存在していたなら何百万年もこの砂漠のルール、常に弱肉強食の内戦状態にで何も変わらないだろう。むしろこれが文明の正しい姿なのかもしれない。持続可能な社会、というのはまさにこれだ。
この文明は自然と同じように持続可能で、現在他の文明が迎えようとしている決定的な破滅を迎えることは無い。
他の文明による介入があったおかげで(もちろんヴェインランドの鉱山資源を求めて)首都のソレイユは軍隊とギャングの縄張り争いが無限に続いている状態だ。もちろん鉱山資源の売上を誰が独占するかという権利争いをしてるわけである。
停電によって軍隊が動揺してるところにギャングたちが攻勢を強めていて、そこら中で銃撃戦が繰り広げられていた、驚くことは無い。これがいつもの光景だ。
もちろんこういう社会の常で女はモノ、というよりは性器としてしか扱われていなくて、非常にムカムカする。こいつらに世界革命だのなんだのと教えていくのは本当に無駄って気がする。核爆弾で地上から消し飛ばしてやりたい。こいつらを教育させて文明化させるのは時間の無駄だ。すでにたっぷり悪癖にハマりこんでいる、一度全員消去して、子供を洗脳するほうがよっぽど速いし生産的で効率的だ。壊れたモノを治すよりも新しく作ったほうが安い、これが悲しいけれどこの世界のルールだ。
その昔神様が無限に戦争をやめない人類を大海嘯で洗い流してほぼ全滅させたっていうのも非常にわかる、神様だってうんざりしたんだ、人間のワタシはもっとうんざりする。レムはそういうところが甘い。レムは優しすぎる。特に最近はその傾向が強くなってきた、まさか本当に人類を救うつもりなの?神にでもなったつもり?神を超える存在にでもなろうとしてるの?
とりあえずレポートにはヴェインランドはほっておくに限ると結論を書いておく。
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