第16話 アズハヤ地区防衛
ユミ
エレノア「流星ミサイル全六発の発射を確認、総員退却」
ユミ「六発もあったの!?流星って多弾頭核ミサイルでしょ?だいじょぶなんかいな?」
レーゼ「全弾直撃したらさすがにダメでしょうね、あのミサイルクソ鈍重ですけど核弾頭を詰め込めるだけ詰め込んでるから、みんな瓦礫の下でお陀仏」
エレノア「流星5号、点火失敗、軌道を外れました」
ユミ「それってどういうことよ!?」
エレノア「落ちます、ローグに」
ユミ「それってまずいんちゃうの!?」
レーゼ「ローグの市街地に落ちれば街ごと消し飛ぶわね」
ユミ「消し飛ぶわね!じゃないでしょ!市街地に落ちるまでに止めればいいのね!」
ユミ「ちっ・・、落下する核弾頭を処理する!」
ネル「ギアぶっ壊したら5億です」
ユミ「いいよそんなはした金!こんなゴミみたいな量産型!」
イズナ「おもろそうやないの、半分はワタシがカバーする」
ユミ「いや!あなたは駄目でしょ!かえってください!イズナもカバーしなきゃいけないとただの邪魔だ!」
イズナ「連れないこと言うなよ、タイムアタックは燃えるぜ、ワタシのことは気にするな」
気にしたくなくても気になるんだよ、このバカヤロー
ネル「拡散核弾頭で散らばって落ちるから間に合いません、最短経路を通っても12個中6個取り逃がしますね」
ユミ「いきなり答え出さないでよ!萎えるわ!」
ネル「ただの距離速問題ですからね、どう頑張っても無理です」
ユミ「海方向に落ちるのは捨てて、街に落ちるのだけ潰す!被害を最小限に!」
ネル「それだと・・・ルート出します」
画面に墜落する核弾頭の軌跡が表示される、本当だ、ぜってぇ間に合わない。でも一つでも多く!
ユミ「わかった!1つ目!」
イズナ「2つ目!」
ネル「海方向に落ちる3つは捨てても9個中3つは落ちますね、それとユミのギアは大破、イズナさん死にますよ」
ユミ「3っつめ!イズナ!もういいから離脱して!」
イズナ「4つめ!嫌だ!ワタシに構うな!」
なんなんだよこの人は!バカすぎる!
??「レイヴンチーム応答せよ、アズハヤ港湾地区に落下する核弾頭を撃破せよ」
R-3パイロット「了解」
ネル「Rー3による核弾頭撃破確認、アズハヤ市街への落下は阻止できました」
ユミ「インペリアの戦闘機!やるじゃん!よしっ!イズナさん腹に力入れて!」
イズナ「ちょっまさか!?ぐぇえっ!」
イズナさんの腹にドロップキックを入れて爆風の外に蹴り飛ばした。ふぅ、これで死なないだろ、海のほうで爆発が起こって量産型は一瞬で溶けた。安物のプラスチックだもんな。
気づくと手がびしょびしょになっていた、ギア操作してこんな汗かいたの久々だ。
ユミ「ひゅ~~・・・、柄にもなくヒーローしてしまったぜ」
ネル「ユミさんがそんな正義感強いとは思いませんでした」
ユミ「ワタシも・・・やっぱローラン育ちだからかも、ローグにはなんか・・シンパシーを感じる。昔の自分たちを見てるみたい、小国の島国なのに必死で世界と戦おうとしていて・・・
わかってるよ、あそこに住んでる人間のほとんどはクズだってこと、でも本当に使える人間が一人くらいはいるかもしれないじゃん」
ネル「はぁ」
ユミ「相変わらず言っても何も響かないガキだなおまえさんは」
ユージェニー
オペレータ「墜落したミサイルの核弾頭はアズハヤ沖で爆発しました、市街地への落下は謎の無人機と、R-3が撃墜した模様」
作戦指揮官「誰がR-3に命令を出したんだ!?そんな命令出してないぞ!」
ユージェニー「おい、こいつを首にしろ、緊急大統領命令だ、ワシが直接最高指揮官として指揮を出す、とっとと連れて行け」
作戦指揮官「なっおい!?貴様ら!ワシは上官だぞ!」
ユージェニー「すべての階級を剥奪し、軍籍から追放する。残り5発のミサイルは?」
オペレータ「流星ミサイルは秒速4kmに到達、南極まで残り15分です!予測されたデータよりも速いです」
ユージェニー「ミサイルを撃墜できる方法は無いんだな」
オペレータ「ありません、南極には対ミサイル装備は配備されていません」
ユージェニー「見守るしかないと言うわけか」
オペレータ「・・・なんだ!?南極基地上空に光の輪のような装置が出現しました、衛生映像拡大します」
映像には、巨大な天使の輪のようなものが映し出された。冗談みたいな兵器だ。
どうやってSaint社は何十年も先の未来のような兵器を生み出したのだ?いつのまに我々は時代遅れの間抜けに成り下がったのだ?我々は今愚か者のように見えるだろう、マシンガンに拳法で戦いを挑んで来る猿のように見えるだろう、一体いつ道を間違えた・・?
平和か?平和が我々をこんな腑抜けにしてしまったのか?繁栄か?インターネットか?インターネットが我々を怠惰な豚にしてしまったのか?あるいは権力か?
人間の歴史を作るのは人間の意思ではなくて、兵器だ、兵器が人間のココロを支配す。権力の大きさが人間を形作る。ヒトは権力を握ると、自分より弱い人間を自分と同じ人間だとは思わなくなる。
車の運転と同じだ、車に乗るだけで、自分の前を歩いてる人間を轢き殺したくなる、道を譲るのが当然で、ただ歩いてるだけなのにちんたら歩いて自分の邪魔をしてると感じる。
歩行者は別になにも変わってない、何も悪いことはしていない、ただ普通に歩いてるだけなのに、車に乗る人間は、自分が力を持つと、「当然」道を譲るべきで、邪魔をするなら殺しても良いと勝手に自分のルールを作り押し付ける、そしてそれが当然の法と考える。
力、権力というのはそういうものだ。
悪い人間が権力者になってるのではない、どんな人間でも権力を握れば同じように横柄で尊大に、自己中で利己的になる。どんな人間も権力を持てば奢り、愚劣で横柄になる。そして新たな兵器が現れた時にようやく、自分の愚かさを認識するのだ、それまではどんなに自分達が腐り果てていて、耐えきれない腐臭を撒き散らしているのか、まったくわからないのだ。
オペレータ「光の輪が急速回転しています・・・光弾を射出!うわっ!」
凄まじい光とともにミサイルはすべて破壊された。デモンストレーションというわけか、気に食わぬ。Saintだと・・・聖者気取りというわけだ。天使の輪、聖女、くだらん、くだらんにもほどがある。せいぜい嗤うがいい。明け渡そう、帝王の座を、そして今度は貴様らが、すべてのクズどもに足を引っ張られる番だ。
ユージェニー「緊急事態制限と戒厳令をしき、物資はすべて配給製にする、海軍は本土防衛の防衛線をしけ、ミサイル、航空兵器はすべて廃棄、原子力潜水艦をすべて自国領海付近へ展開しろ」
オペレータ「・・・どっどういうことでしょうか?」
ユージェニー「まだわからんのか、馬鹿者め。インペリア包囲網がすでに敷かれたのだ、すべての国がこの混乱に乗じてインペリアを破壊しようとするだろう」
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