トレース・トリア

ゆうき

ダナ1 砂漠

ダナは空を見た。

満点の星。静かで、暗い世界。

この世界とはかけ離れた、穏やかな世界。


するっと何かが足元に触れた。

見ると、全身を鱗に覆われた小さな生き物が、そっとこちらを見上げている。


「おいで」

寒いのだろう、ガタガタと震えているそれを胸元にしまいこむ。

ダナにとって、この世でたった一人の友達。

その右手甲には、三角の入れ墨。ウロコを扱う一族の長の印。


「さぁ、帰ろう」

彼女の国は、まだ遠い。

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