第9話

家に帰ってからお母さんにお年玉の通帳を見せてと頼んだら「楽器?」と聞かれた。


「うん」


「華ちゃんのお母さんに聞いたから、覚悟はしてるよ」お母さんは淡々と言っている。


華ちゃんとは、亮君の妹で、だから私の幼馴染みで同じ年、華ちゃんも亮君の後を追って吹奏楽部に入っている。ただ、私と違うのは小学校の時から吹奏楽クラブに入り既に技術を身につけている。親同士も仲がいいから情報は入っていた。


「心配しなくていいから、でも必ずコンクールメンバーに選ばれてね」とお母さんは言ってくれた。


コンクールメンバー…そうだ!日本一の前にメンバーに選ばれなければならない…。

一気に不安が押し寄せた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る