第7話 未来の少年


 まあ、色々と考える所はあったのだが、ひとまず家で話そうとリビングに全員集まって話を聞くことにした。

 そして少年の言ったことは意外にわかりやすいことだった。


「「「千年後の未来から来たぁ!?」」」

「そうです! 千年後の未来の日本のコロニーから来ました!」


 そう言って出されたお茶を啜る少年。

 少年は「お茶美味しいです」とだけ言ってから話を続ける。


「千年後の未来では日本だけじゃなくて世界中が宇宙へ進出して大きな国を形成してるんです。その中にはI県の人間が主体のコロニーも沢山有るんです」

「はぁ……」


 不思議そうな顔の久世母。


「その中の一つに白山コロニーがあって、僕はそこから来たんです!」

「それはまた凄いな……」


 久世父も少年の話に呆然としている。

 だが、隆幸は冷めた目で聞いていた。


「そんで? それとお前が人んちの庭に不法侵入して、丸いものを鎮座させたのと、どう関係があるんだ?」

「え、えーと……」


 隆幸の鋭いツッコミに困り顔になる少年。

 焦りながらも彼は言った。


「えーと……そうそう! 実は未来の金剣町では『宝満祭り』が失われているんです」

「……祭りが無くなった?」


 久世父が訝し気に尋ねる。

 そんな家族三人を尻目に焦りながら少年は答える。


「えーと……ちょっと戦争のゴタゴタで継承者が居なくなってしまって……それで、色んな資料をかき集めて復活させようと頑張っているんです」

「……まあ……」


 久世母も少しだけ悲しそうな顔になる。

 だが、隆幸は半眼になって聞いている。


(明らかに嘘だな。戦争のゴタゴタってなんだよ?)


 確かに戦争のゴタゴタで大事な継承文化が失われることも多い。

 だが、明確な理由があるならそう説明しているだろう。


(それに無くなるなら、継承者が居なくなっただけの方が信憑性高いだろうが……)


 昨今は少子化の影響で継承者不足が相次いでいる。

 可能性ならそっちの方が高い。

 隆幸が疑いの目で見ているが少年はそのまま話を続ける。 


「実はそんな時に近所のキ○ガイジジイがタイムマシンを都合よく開発しまして、『こんなこともあろうかと思って開発しておいたぞ!』とどや顔でほざいてきたので使わせてもらったのです!」

「どうでも良いけど、口悪いなお前?」


 隆幸だけは半眼でツッコミを入れる。

 それを聞いて、あははと笑う少年。


「そんな訳で是非とも僕に棒振りを教えてもらいたいのです! 協力していただけませんか?」

「そんなことする義理がないだろ? 親父。警察呼べ。けいさ……」


 そう言って隆幸が父親の方を見ると……


プルプルプルプル……


 顔を俯かせて肩を震わせていた。

 それを見て隆幸はげんなりする。


(まずい……これはひょっとして……)


 嫌な予感をする隆幸を尻目に久世父は叫んだ。


「粋に感じたぞ小僧ぉぉぉぉぉぉ!!!!」

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