後編への応援コメント
古風な空気感を保ったまま
静かでズブズブと沈んでいくような幕引き。
菩薩って…私は薄気味悪いイメージです…
アルカイックスマイルは含み笑いだと思います。
(罰当たり発言…)
とても叙情的で繊細。
たおやかで素晴らしい作品だと思います。
嫌いじゃなくて、むしろ好きな雰囲気です。
私が切なく感じるのは、
修吾坊ちゃんという魔物に魅入られて、
縛り付けられているのに気づかない千代さん。
私にはそれがとても怖く思えました。
(解釈が違っていたら、大変申し訳ないです。
遠慮なくコメント削除してくださいね)
良いものを読ませていただきました。
ありがとうございました。
作者からの返信
続いてのご感想どうもありがとうございます。
菩薩は王子時代の仏陀ですからね。
権力の座にある人間の不気味さもアルカイックスマイルには漂っていると思います。
ご賢察の通り、千代は本人の与り知らぬ所で修吾というアンファン・テリブルに縛り付けられたのです。
「僕は地獄に堕ちる」という言葉には修吾の悔悟が込められています。
こちらこそ的確に読み込んでいただけて嬉しいです。
前編への応援コメント
切ないミステリーを読ませてもらいに来ました。
大変お待たせしてしまい、すみません。
冒頭から女性特有の感性、表現に
圧倒されました。
(ミステリーじゃなくて、ホラーの感覚で
読み進めてしまいました)
何というか…終始絡みつくような文体で、
美しくて…仄昏い。ゾクゾクします。
特に修吾坊っちゃんのあどけない禍々しさ…
「僕、平気だよ」とか言いながら
陰でひっそり静かに笑っていそうな感じが
逆に怖くてたまりません。
最初はご挨拶だけと思ったのですが、
このまま、後編を読ませてもらいますね。
作者からの返信
拙作のご高覧及びコメントどうもありがとうございます。
修吾坊ちゃまはある意味では兄を救ったのですけれどね。
後編も読んでいただきありがとうございます。
後編への応援コメント
初めまして、斑猫です。
自主企画より参りました。
美しい情景が目に浮かぶような文体で、尚且つどのように物語が展開していくのかドキドキしながら読み進めました。
修吾お坊ちゃまの無邪気さ清純さに目を奪われましたが、確かにねえやの周りに他の男性が来た時の言動が気になりましたね。
最期の「僕はきっと地獄に落ちる」という文言も気になりますね。
個人的に気になったのは修吾お坊ちゃまの放蕩さですが……これもお母様が亡くなった事に起因するのかなとか色々と想像力がはかどります。
ではまた。
作者からの返信
おはようございます。
拙作のご高覧及びコメントどうもありがとうございます。
修吾は千代や特に彼女と恋愛関係にならない人たちにとっては天真爛漫な子供です。
けれど、実兄の貞吾はさておき第三者の直彦には不気味さが漠然と察せられてはいます。
結果的には貞吾も直彦も若い命を絶たれ、ばあやの八重のように二次的な犠牲者も出ていますからね。
飽くまで千代目線なので荒んだ貞吾の詳細は伏せたままにしておきました。
しかし、ばあやの八重との関わり(母親代わりの彼女を粗略にはしても決して追い出しはしない)や死の直前のやり取り(普段は不在にしている父親と彼女の間柄を当て擦る)にヒントを込めたつもりです。
それでは、また。
繰り返しになりますが、コメントどうもありがとうございます。
後編への応援コメント
こんにちは、一気に読ませていただきました。
大坊ちゃまの醸し出す不穏な空気にざわつきながら読み進めていくと、初めは坊っちゃまが小さな英雄のようで微笑ましくかわいい……というところから一転、どうも見えないところで恐ろしいことが起きたような節がある。
そして時が流れてまたしても、千代さんをめぐる男性が不穏な死を遂げる。
一度目は救われたと思えたけれど、今度はどうだろう?彼女自身の冷静さで、あのまま浜で会えても、坊っちゃまの前から居なくなることはなかったかもしれない……
色々とイフを考えてしまう作品でした。
時には発熱すらコントロールしている節のある坊っちゃま。
そして昔の日本社会の、今とはまた違う意味での窮屈さ、人生の選択肢の狭さ。
古き良きなんてノスタルジックなイメージの影に隠れ気味のそういったものを、今の日本社会は多少は克服できたのだろうか、それとも違う闇が増しただけだろうか、など考えさせられ……
少し昔の日本のリアルな暗部を描き出す描写が秀逸だと思いました。
反面、季節ごとの坊っちゃまとの穏やかなやりとりが何物にも代えがたく輝いているのが、信頼できない語り手の手法で紡がれる物語の全体を、陰惨な印象で終わらせず、爽やかにしています。
特に、葉っぱを描くのに現実の枯れた色彩でなく、若葉の色合いで描いた場面が、坊っちゃまの子供らしい感性と子供らしからぬ聡明さの両面を表すようで印象深いです。
たいへんとりとめない感想となってしまいました。
こういった作風は確かにこの手のサイトでは少数派になると思います。しかし流行りに乗っていなくても、人の心に残る作品だと感じました。
作者からの返信
おはようございます。
拙作へのご高覧及びコメントどうもありがとうございます。
丁寧かつ的確な読み込みに敬服します。
雇人の千代を虐待し手篭めにしようとした貞吾はさておき本人も不遇な恋人の直彦は犠牲としか言いようがないですね。
劇中の登場人物で彼だけが修吾の不気味さを感じ取ってはいるけれど死に見舞われる。
あのまま浜で会って彼だけが汽車に乗って旅立っても明るいその後は考えにくいですね。
特権的な貞吾・修吾兄弟に対して千代(やばあやの八重)、直彦は貧しさ故に選択肢を奪われた人たちです。
落ち葉を色鉛筆で透かす場面はご賢察の通りです。
千代の中では修吾は一貫して清らかな存在なので二人のやり取りは穏やかさを保ちました。
「とりとめがない」なんてとんでもない。
読解される力に大変敬服しました。
繰り返しになりますが、ご感想どうもありがとうございました。
後編への応援コメント
二日に分けて拝読させていただきました。
丁寧に描かれた情景の重量感、色彩感など、読了後の余韻が続く作品でした。
言葉遣いや時代考証など細部にもこだわりを感じました。
直彦からもらった硝子ビーズ付きのヘアピンを鏡の前で付けるシーンが好きです。
基本的に受け身で周囲に翻弄されつづける千代が、
真夜中に「このままでいいのか」と自問し始める描写は引き込まれました。
喧噪の中でふと立ち止まり、自分を俯瞰することで見えてくる焦り。
そして、17歳の少女には重すぎる絶望…。
皆が寝静まった真夜中の片隅で見つけた本音には、
たくさんのものが滲んでおりました。
大変すばらしい作品でした。
愉しませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
拙作へのご高覧及びレビュー、コメントまでどうもありがとうございます。
千代が鏡の前で恋人からのヘアピンを着ける場面は女性としての自我の目覚めを描く点で力を入れたのでそうしたご感想をいただけて嬉しいです。
貞吾のような金持ちの坊っちゃまが遊びの色事を楽しむのは許されても(修吾も健康体で生き延びれば兄のようになった可能性はありますし、この兄弟はそれが特権として許される立場です)、千代や直彦のような使用人、特に女性の千代には「ふしだら」として許されない。
そういった戦前社会全体の抑圧の中での目覚めです。
修吾が千代にとっては女性としての現実的な人生の収奪者、抑圧者だった面を描きたかった意図もあります。
高く評価していただけて嬉しいです。
繰り返しになりますが、ご感想どうもありがとうございました。
編集済
後編への応援コメント
コメント失礼します!
まず始めに。
自主企画への参加、ありがとうございました!
読み始めで「え、これミステリーなの?」と疑問に思いましたが、ラストで驚きと納得が同時にきました。
まさに、「読了後、言葉を失う」素晴らしい作品でした。これは凄い。
始めは修吾を「いい子だな」と思って眺めていました。天真爛漫で、純粋無垢で。千代のピンチに、意識的か無意識かはさておき、手を伸ばしていて…。
貞吾の件で、若干のサイコパス感は漂いましたが……。
直彦と千代が良い感じの雰囲気になり、「おお!このまま駆け落ちるか!?愛の逃避行か!!?」と盛り上がった時点で雰囲気が一変。修吾の独占欲の塊とも思えるような言動に、ヒュッと息が詰まりました。
そして不穏な空気が漂ったかと思えば、案の定(?)直彦は……。
直彦、割と好きなキャラだったのでショックでした。あのまま千代と二人で幸せになって欲しかった…。切ない。
「僕はきっと地獄に落ちる」
視点が千代のものだったため、しばらく騙されていましたが、やはり違和感は間違いではなかったのだと、この一言で確信しました。
とんでもない男でしたね、修吾。
ふと、ここで始めの方のシーンを思い出しました。あの、蝶と蜘蛛の巣のシーンです。
修吾にとって、“蝶”は千代で、“蜘蛛”は自分以外の男だったんですかね?
蜘蛛の巣を排除したあの少年が、千代に群がる男を排除していたと思うと…。
おわぁ…ゾッとします……。
改めまして、驚きの、素晴らしい作品をありがとうございました!面白かったです!!
作者からの返信
ご高覧及びコメント、レビューまでどうもありがとうございます。
そんなに高く評価していただいて作者としても感に堪えません。
修吾は千代の目線では最期まで良い子なんですよね。
結局は貞吾や直彦よりもっと幼い少年の年配で死ぬわけで。
実兄の貞吾に関しては雇い主として千代(や乳母の八重、他の女中たちも)を虐待した加害者なので致し方ない面はあります。
直彦は完全な被害者ですね。
彼については当時の社会構造の犠牲者(物語には直接登場しない雇い主の『新田の旦那様』から実質は親の借金の形に奉公人にされた)であり、また、津川家の外にいる人間として修吾の本質を最初に見抜く存在として出しました。
冒頭に出した蓮池の蝶と蜘蛛に関しては作者としても色々と想像していただきたいところです。
繰り返しになりますが、丁寧な読み込みとコメントどうもありがとうございます。