青色をした青虫
間違いなく原色のブルーだった。
青虫、という言葉がさす生き物は緑色をしているはずだ。そいつは形はいわゆる芋虫であったが、その体色は不自然な青色だった。
世の中には擬態というものがあって、芋虫が緑色をしているのは植物の色に紛れ天敵である鳥から見つからないようにするためのはずだ。この真っ青な虫はヒマワリの葉の上でこの上なく目立っていた。
自然界に青というのはあまりないものらしく、青い顔料はかつてはラピスラズリからしかとれなかったし、青いバラも人工的な遺伝子改良を経てやっと作り出せた。なのにこの芋虫はそんなことお構いなしで真っ青な姿をさらしている。
不思議の国のアリスに出てくる青虫が、たしか真っ青なんだっけ。こいつがいつ水煙草を取り出すか見てやろうと、私は観察を続けた。
《制限時間15分、お題:青い虫》
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