4-16

 「おお!でけ〜プール!!」

「ガチなところじゃん!!」

世界水泳もやった場所だって!

すげーな!

そんなところで、高飛び込みって、笑える!

高飛び込み台ってゆうのかな、5メートル、

7、5メートル、10メートルがあった。

見た感じ、俺が落ちた崖は5メートルくらいだったんじゃないかって思う。足から落ちたんだよな。

見比べると10メートルって高〜な〜!!

ってゆうか、このプールいいなぁ!

純粋に泳ぎて〜!


それでは、準備も整いましたので、Realの皆さんお願いします。

助走をつけて、できるだけ遠くにジャンプするみたいな感じで飛び込んでください。

と、説明された。


「遠くへジャンプ!悠弥、回転なしな!」

「あぁ!とりあえず、言われた通りにやるよ」

「衣装を濡らしちゃうということは、一発勝負ってことですか?」

と、大輝が聞いた。

「はい、一発勝負です!遠くへ飛んでもらって、落ちるところと、水の中で水中撮影をします。

特に演技は必要ないので、水の中落ちたら浮かんできてください。

服が邪魔になると思うので、気をつけて!

いざという時は、ダイバーカメラマンが救助します。

それでは、どなたからでもいいですが」

「じゃ、俺からで」

と、いつもと変わらずリーダーの大輝が手をあげた。

どんな時でも大輝が率先して動く。

大輝が螺旋階段を登っていく。

他の人たちは、下で見ていろと言われたから、離れてプール横から見ていた。

上で、スタッフの人と何か話している。


「それでは、お願いしま〜す!」

大輝が飛び込み台の上で、助走をつけてジャンプした!!

そして、大きな水しぶきをあげてジャバ〜ン!!とプールに飛び込んだ。

一瞬だな。

次は、誰かって思ったら、いつの間にか、悠弥がもう階段を登り始めていた。

早っ!

飛び込み台の上から、お〜い!って手を振っている。

本当にバカでかわいい!

俺も下から大きく手を振った。

悠弥〜!!ガンバレ〜!!とか言ってみる。

俺もバカでかわいい。

助走をつけてジャンプ!!

さっきの大輝よりも、10メートルくらい遠くまで飛んだんじゃないか。

さすがに、運動神経の良さを感じる飛び込みだった。

きれいだった。

「次 誰やる?」

と、俺は瞬と龍聖の顔を交互に見た。

「はぁ……俺、高いところ苦手なんだよな……

最後ってのも嫌だから、先にやらせて!」

と、瞬が言った。 

なんだか、顔色も悪く感じた。

「大丈夫かよ?一応、なんてやつだから、もしかしたらやらなくてもいいんじゃね?

聞いてみる?」

と、俺は言った。

瞬は、ジャケットを脱ぎながら、

「みんなやって、俺だけやんね〜のも、あとあとずっと悠弥に馬鹿にされそうだから、さらっとやってくるよ」

「アハハハハハ!ガンバレ〜!」

と、瞬を送り出した。

「瞬、ウケんな!」

龍聖と笑った。

瞬は、飛び込み台に登ると、何食わぬ顔でサラッと飛び降りた。

「瞬、ポーカーフェイスだな。ハハハ!」

「あぁ」

「俺、どっちでもいいけど、龍聖どうする?」

「じゃ、俺も先にやるわ」

「はいよ!龍聖だけ使いたいみたいだから、カッコよくな!」

「だから、ハードルあげんなって!アハハ!」


龍聖もきれいに飛び込んだ。

最後、俺の番。

上着のコートを脱いで、螺旋階段を登った。

上に着いて、下を覗いてみた。

下から見てたよりも、高く感じた。

スタッフの人が、出来るだけ遠くへ飛距離延ばしてください!と言った。

「了解で〜す!」

助走をつけて、高く遠くへ飛んだ。

でも、それは一瞬。

あの時みたいに、気がついたらジャバ〜ンっ!!って着水して、だいぶ深くまで沈んだ。

暗くもないし、荒波もないから、簡単に浮き上がり泳いでプールからあがった。

ほんとの海は、こんなんじゃね〜けどな。


俺があがると、龍聖だけ別カットを撮ると言われていた。

バスタオルを渡され、俺はもう着替えに行っていいと言われたけど、龍聖のを見ていた。


プールサイドから、後ろ向きに、そのまま倒れるような感じでプールに飛び込めって言われてる。

説明を聞きながら、龍聖は引きつった顔をしている。

背中からバシャン!って痛そうだな!

「ちょっと待って!それ誰か試してみたの?

痛いかもしんね〜じゃん!

俺、試しにやってみるから!」

なんか、龍聖の不安気な顔を見たら、じっとしていられなかった。

プールサイドに立って、手を広げ背中から倒れてみた。

バッシャーン!!

派手な音をたてて、水面にぶつかった。

「アハハハハハ!いて〜よ!!

背中ってより、腕が超痛い!」

「桂吾!行動が早いよ〜!

俺よりも、桂吾が手を怪我したら困るんだからさ!

いきなりやんなよ!」

そう言って、龍聖がプールサイドから手を伸ばした。

その手をつかんで、

「あっ!そうだな!なんも考えなかったわ!アハハ!」

と笑った。

「ありがとな!桂吾の見本見たから、やってみるよ!」

「腕、いて〜けどな!」

「ジャケット着てやるかな!」

「お、その方がいいかも!」

「じゃ、龍聖さんスタンバイお願いします!」

「はい」


龍聖はプールサイドに立つと、目を閉じ、両手を広げて、まっすぐに倒れた。

スローモーションみたいにキレイだった。


「はい!OKです!龍聖さん、そのまま背泳ぎみたいに上を向いて浮かんでることできますか?」

「やってみます。

あ!ジャケット重すぎて、浮くのムリっぽい!」

水中のスタッフが、龍聖の周りで支えた。

「じゃ、ジャケット脱いで、やってみてください!」

水の中で、濡れて重くなったジャケットを脱ぐのは、とても大変そうだった。

なんとか脱ぐと、それをスタッフに渡して、龍聖は水面に浮かんだ。


「はい!そのままで撮影します!

最初目を開けていて、5秒数えたらゆっくりと目を閉じて下さい!

用意!スタート!

…………

はい!カット!OKです!龍聖さん、お疲れ様でした」


プールサイドで、龍聖に手を伸ばした。

「サンキュー!待っててくれてありがと」

スタッフから、バスタオルを渡され、2人でロッカールームへ行った。

裸になって、シャワーを浴びて着替えた。

龍聖の裸、まじまじ見たの初めてだな。

超かっけー!!腹筋は割れてるし、太もも、ふくらはぎは、筋肉で引き締まっている。

「龍聖、なんか運動してたっけ?」

「えっ?運動?筋トレくらいかな?」

と言った。

「筋トレ!ガッツリやってんな〜!」

龍聖は、えっ?って顔をして

「そうでもないよ〜。俺は、気が向いた時しか

しないから。

桂吾の方が、水泳とボクシングで鍛えた身体って感じじゃん!かっこいい!」

と笑った。

「は?かっこいいは、こっちのセリフだよ!

龍聖、裸の写真集出せよ!

ゼッテー売れんぜ!そうゆう需要あんだろ!」

「アハハハハハ!桂吾と2人でならいいよ!」

「それやべーな!かなり、エロい写真集になっちまうな!アハハハハハ!」


着替えて、みんなのところに戻ると、大輝が怒っていた。

「おまえら!おっせーよ!!アハハ、アハハうるせーんだよ!!」

「は〜い!すみませんでした〜」

と、2人で謝った。

スタッフも撤収作業をしていて、俺らはもう帰って良かったらしく、俺と龍聖待ちだったようだ。 


「お待たせしてすみません!木村さん!」

「いえいえ、龍聖さんは別カットも撮影しましたし、桂吾さんもお付き合いいただきありがとうございました。

そんなに、待たされてませんから大丈夫ですよ」と、言ってくれた。

「お疲れ様でした!」

と、大きい声で挨拶して、プールを後にした。

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