4-2
「龍聖さん、あなたは普段スイッチをオフにしてるのかしら?
感情を面に出さないタイプね?」
「はい。人見知りなので。
失礼な態度でしたら、謝ります」
まっすぐ、副社長の顔を見て言った。
「いいえ。大丈夫よ。
私、本戦の時は、審査員メンバーじゃなかったから、あなた達の演奏は、舞台袖から見ていたわ。龍聖さん、歌い終わって、天を仰ぎ目を閉じていた。
ラストのギター、ピアノを聴きながら、すごく肩で息をしているように見えた。
よく見たら、声がもれないようにしながら、泣いていた。
幕が降りてから、桂吾さんに抱き抱えられて行ったけど、いつもあぁゆう感じかしら?」
あれを、見られてたのか。
龍聖、大丈夫かな?とチラッと横を見た。
龍聖は、顔色を変えず
「いえ、あの時は、何であぁなってしまったのか、自分でもちょっと驚いていますが。
広いホールで観客が大勢いて、大きな歓声だったからとか、緊張していたのがほどけたからかとか、いろいろ考えてみましたけど、ただ単に桂吾の思いを憑依しちゃって、あぁなりました。
実際、俺は緊張もしていなかったし、普段通りのテンションで歌っていました」
「そうなのね。感受性が豊かなのね。
あなたの歌声は、あなたにしか出せない個性だから、本当に大事にしてほしいと思うわ。
さっき、瞬さんから、レッスンの話があったけど、龍聖さんには専門的なボイストレーニングをつけたいと思っています」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「さて!桂吾さん!あなたは、本当につかみどころがなくて、ツッコミどころ満載なんだけど、あなたの才能がこのバンドの肝ね!
それと、人を惹きつける魅力を持っている。
それは、そうなりたいと思ってなれるものじゃなくて、あなたの生まれもった天性の物だから」
「アハハハハハ!俺は、ただのハーフですよ。
育ってきた環境が普通じゃなかったから、普通じゃない人になっちゃっただけです」
「そうゆう、計算じゃない喋りも、チャラい雰囲気も、あなたの作る楽曲とのギャップがあって惹かれるわね」
「アハハハハハ!俺に、惚れちゃいました?」
「アハハハハハ!アイドルとかとスキャンダルを起こさないように、教育が必要ね〜!」
そんな、和やかな雑談で、契約を交わした。
午後は、音楽制作会社ルピアーノとの契約。
本社ビルへ車で送ってもらった。
【デビュー曲 YO.I.N】
【リアルなLOVEはバラードだ!!】
【Real YO.I.N】
これは、案ですが!と、キャッチコピーみたいものを見せてもらった。
リアルなラブはバラードだ!って、超うける!!
これを、大人たちが一生懸命考えて作ってくれたんだと思うと、マジでウケる。
これからのスケジュールとして、各種業界関係者への挨拶回り、YO.I.Nのジャケット撮影、レコーディング、プロモーションビデオ撮影などをしていくそうだ。
その次の段階として、YO.I.Nを含めたラブソングのアルバムの、作成に取り掛かると言う。
その為には、あと最低7曲は、曲作りをするようにと言われた。
そんなこんなで、17時に終わった。
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