第9話  愛の形

 今日で旅行も終わり、家に帰る。

「お前ら仲良くなったな」

 父がそう言う。そうかもしれない。あの一件で響とは仲直り…というかもっと仲良くなった。父も母も俺達がシスコン、ブラコンだと気づいてないだろう。

「もしかして、シスコンとかブラコンになったのか?」

 あー。気づかれるの早いー。

「その様子だとそうなんだな」

 気づくの早いしこの人やばい…

「どうして分かった?」

「あ、あー。実は俺とあいつ、姉弟なんだよな。だから気持ちは分かる」

 あいつというのは母の事だろう…というか姉弟で結婚!?

「姉弟で結婚って出来るの?」

「言い方が悪かった。義理だな。義理は結婚出来るし」

 そういうことか。俺達も義理だったら結婚出来るのに…もしかして、

「俺達は義理?」

「うんうん。そんなわけないじゃないか。俺達は一回しか結婚してないんだから」

 あー。やっぱりね。分かってた…

「まあ、落ち込むなって。結婚しなければいいんだから。付き合っているっていう形だけだと大丈夫だろ」

 た、確かにそうだが…どうせなら結婚したかった…

「で、でも子供とか作れないじゃん。血繋がってる人と作るとだと障害持ってる赤ちゃんが生まれやすいって」

「お、お前子供作ろうとしてたのか?」

 あー。余計なこと言っちゃったかな。

「まあ。子供が愛の形って言うじゃん」

 父は少し何かを考え…

「それはそうだけど…まあ障害が合ってもいいんじゃないか。そこのところの法律は知らないがバレなければいいだろ」

 いいのか?いや、駄目だろ!

「確か、その障害を持ちやすいから結婚は駄目だった気がする」

「そういうことは自分達で決めろ」

 めんどくさがってるな。でも、自分達で決めた方が良いか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る