届かぬ願い それぞれの思い 4
なんか、ファーンがさっきからブツブツ言って考え込んでるね~。おなか痛いのかな?
あたしはアップルちゃんの首をぽんぽん叩く。そうすると、アップルちゃんも嬉しそうに「ブルブルブル~」って鼻をならす。2人乗りで疲れちゃうよね~。
でも、元気になってきたみたいだから、少しだけ早足をしてみよう。
「
かけ声と一緒に、踵でアップルちゃんのおなかを蹴る。
すると、アップルちゃんも嬉しそうに軽やかな早足になる。
早足って、馬が踊っているみたいで可愛いんだよ~。
ファーンも、急に早足にしても、ちっとも驚いたりしないくらい、乗馬が上手になった。あたしも、乗馬は楽しい。
長く乗ると疲れるって言うけど、あたしは疲れないし、おしりも痛くならない。
地上人って、不便だね。
地上人って、あたしたちの事を不思議がるけど、あたしからしたら、地上人の方が不思議なんだよな~。
寝るのもご飯も、大好きだけど、無かったら無いで困らないし、暑さ寒さも、あまり気にならないけど、地上人はそれがとっても大切らしいの。何だか不便だな~って。
でも、それを大切にして、色々工夫したりする地上人が、あたしはとっても好き。
地上人がいろいろ考えて工夫してくれるおかげで、あたしはおいしい物を食べたり、いろんな物を見れたり、楽しめたり出来ているので、「ありがとう」って思う。
だから、町に行くたびに、リラと観光出来るのも、とっても楽しい。
お兄ちゃんも一緒だったらもっと良いんだけど、お兄ちゃんとファーンは、別の事をがんばってくれている。だから、それはがまんするんだ。
あたしって、本当はとっても我慢強い女なんだよね~。
頑張り屋さんなんだよ?
本当は、あんまり色々考えたりしないで、お兄ちゃんに甘えたり、ファーンやリラに甘えたりしていたいし、ベタベタひっついたり、コッコちゃんみたいに抱っことかして欲しい。
それに、いっぱい遊びたい。難しい遊びじゃ無くて、鬼ごっことか、かくれんぼとかしたい。
でも、あたしが本気でやったら、あたしが勝っちゃうんだけどね。
あ、でも、かくれんぼなら、お兄ちゃんとは良い勝負が出来そうかな?
それを我慢して、ちょっと大人っぽく振る舞ってるの。
我慢してるんだよ!
でも、もうすぐ大人の女になるんだから!
ミルは「早熟タイプ」なんだって。早く大人になるんだって。楽しみだよ~~!
お兄ちゃんと会わなかったら、こんなに大人になりたいとか思わなかったと思うけど、あたしはお兄ちゃんが大好きだから、早く大人になりたい。
綺麗になって、おっぱいもド~~ンってなって、お兄ちゃんの目も心も釘付けにするんだ!
お兄ちゃんは、女の人のおっぱいばっかり見ている。断言しても良いけど、おっぱいの大きな女の人にばかり甘い。
逆におっぱいの小さい女の子は、相手にしない。
だから「おっぱいは最強にして卑劣な武器」と言うママの言葉通り、あたしもその武器を手に入れて、そうしたら、最大に活用してやるんだ。
今はリラの方が凄いけど、負っけないよ~!
でも、なんで男の人はおっぱいが好きなのか、全くわかんないけどね。
リラの事は好き。ファーンの事も好き。だから、この2人とだったら、一緒にお兄ちゃんと結婚してもいいかな~。
お姫様のことは嫌い。
我が儘言って、お兄ちゃんを困らせるから嫌い。
でも、話した事は無いから、話したらお友達になれるかも知れない。
いいな~。お姫様だったら、何もしないでも王子様が来てくれるんだもん。ずるいな~。
あたしはお姫様じゃないから、いっぱいがんばらなきゃいけないんだ。
一番の夢は、お兄ちゃんのお嫁さん。
二番は、みんなと一緒の冒険。
三番が忍者マスターかな。
だって、忍者マスターは絶対になれる物だもん。ついでに叶う夢なんだよね。あたし才能あるし。
ただ、精霊使いとしての才能はリラの方がずっと凄いよね。
人間なのに、あたしより精霊見えていないのに、精霊に好かれたり、上手に使ったりできる。精霊が、いっぱい力を出してくれている。
最初は小さく、30センチぐらいだったシルフが、今は60センチにまで成長している。
この変化に、リラは気付いていないみたいだけど、それなのに、あたしにも出来ない大魔法を使えるんだから、これから、どれだけ強くなるのか想像が付かないな~。
これから、エルフの大森林に行ったら、みんなびっくりするよ、きっと。
そんなリラは、この所、お兄ちゃんと一緒の馬で、何だか楽しそう。すっごく羨ましい!ずるい!
でも、アップルちゃんとの乗馬も楽しいから、昼間は我慢する。でも夜はお兄ちゃんに甘えるんだ。
エレッサの防衛戦の後は、夜になってみんなが寝ると、凄く怖くなって、淋しくなって、泣いちゃった。
沢山のゴブリンやコボルト、トロルたちを殺しちゃったんだよね、あたし。
あいつらが悪い奴だって分かっているし、お兄ちゃんの役に立ちたかったのも確かだけど、それでも、やっぱり生き物を殺す事って、凄く怖い。
目の奥に、その光景が焼き付いているし、手にも感触は残っている。
それに、味方も大勢死んじゃった。それが悲しい。
だから、眠る必要が無いから、みんなと違って眠れない時には、凄く怖くて淋しくて、悲しくなって泣いちゃった。みんなを起こさないように、静かに泣いていたんだけど、バレちゃった。
そしたら、お兄ちゃんが一緒に寝てくれた。
すごく嬉しかったし、そのおかげで、あたしも眠る事が出来たんだよね。
今も、時々怖くなるけど、実は、もう夜に泣いたりしないんだ。
・・・・・・だけど、泣き真似しているのさ。
で、バレないように、お兄ちゃんにいたずらしているのさ。
チューとか出来ないよ。お兄ちゃん刺激に敏感で、すぐ目を覚ましちゃうんだよね。だから、ジッと見たり、髪に触ってみたり、そ~っと密着してみたり。
抱っこしてくれているときはあたしも一緒に眠っちゃうんだけどね。
これに関しては子どもっぽくて良かったと思う。
あたしは、今は確かに、同じ年の子よりも子どもっぽいと思うけど、特別に早く大人になる子なんだから、今のうちに甘えるところは甘える。
あたしは甘えん坊なのだ!
大きくなっても甘えて、お兄ちゃんをドキドキさせちゃうんだから、覚悟しててよね!
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