死にたい彼女と俺の妹
江部さんた
プロローグ
車と車の衝突音。家の前の悲惨な光景は、まだ起きて数分の俺に何が起こっているのかすぐに理解できなかった。
通勤途中と思われる両運転手は不思議と大きな怪我は負っていないようで、とても暗い顔で車から出てきた。片方は大学を出て二、三年ぐらいのOLでもう片方はいかにも営業職をやっていそうな中年男性。車から出た二人は無言のまま足を進める。事故に巻き込まれ、もうおそらく息はしていないであろう一人の少女の元へと。
血だらけの少女を見たOLの悲鳴が響き渡る。中年男性は尻もちをつき、あたふたしている。俺にはこの事故はどっちに非があるのかはほんとうに衝突する瞬間、否、二台の車が少女を同時に轢いた瞬間しか見てはいないためわからない。
ただ、その少女が俺のクラスメイトであり隣の席の緑ヶ丘梨乃であることだけはわかった。これが始まりだったのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます