引っ越してきたお隣さん

秋潟北斗

第1話 引っ越してきたのは…

 今日は土曜日、休みだからごろごろしている。

もうすぐ高校生だし高校が始まる前にごろごろしてたいしな

 そう、月曜日から高校生活が始まる。明日は準備で大変だろうから今日、ごろごろしている。

[ピンポーン]インターホンが鳴った。

「誰だ?せっかくの休みなのに」

急いで服を着替えて玄関まで行き、ドアを開けるとそこには今までに見たこともない超絶美少女がいた。こんな美少女が僕に何のようだ?

「どちら様ですか?」

「隣に越してきた、神藤と申します。近くの秋桜高校に月曜から通う予定です。田舎出身で都会に慣れていませんがよろしくお願いします。」

なんと!?同じ高校に行くのか、こんな可愛い子と!しかも同じ田舎生まれか。そういえば引っ越しの音聞こえてたな。てかこの声聞いたことあるような…まあいっか。

「僕は笹塚です。実は僕も秋桜高校、行くんですよ。しかも、僕も田舎生まれです」

「へぇー凄い偶然ですね!これで秋桜行く、知り合い笹塚さんで二人目です」

こんな美少女見たことない。てか、一人目の人が男だったら羨ましいなぁ。

「あの、一人目の人と仲、良いんですか?」

「まあ。幼馴染みですし、一方的に好きなだけですけど」

好き!?やっぱり男か…失恋、早いな…

「あ、あぁこの話は忘れてください。」

忘れる訳がない。

その後、お隣さんということで連絡先を交換した。

「あ、もう一人のお隣さんに行かないと。」

「じゃあまた」

「はい」

  ♦神藤視点♦

「じゃあまた」

「はい」

私は笹塚さんとの引っ越し挨拶を終え、もう一人のお隣さんの部屋へ向かった。っていうかすぐそこだけど。

あの人、朝くんと似てるな…朝くん…じゃないよね?朝くんとお隣さんだったら好き過ぎて死んじゃうよ。

      ●○●○●○

 月曜日、今日は入学式だ。学校に登校するとクラス分け表が学校の掲示板に張られていた。しかし、沢山の人が居て自分がどこのクラスか分からない。目を凝らしてよく見ると笹塚は三人居て、三人中二人が2組、その内の一人が僕だ。2組の教室に行くとクラスの半分くらいの人が居た。そこには、神藤さんも居た。美少女だからかクラスに居る全員が神藤さんを見ている。

「あ、笹塚さん!」

神藤さんがこちらに来た。

「おはようございます。好きな幼馴染みはどこのクラスでしたか?」

「忘れてくださいって言ったじゃないですか!もぉー。でも実はここのクラスだったんです!」

あんなこと忘れられない。

「ごめんなさい。良かったですね」

謝りつつ、祝福した。

「ありがとうございます!」

 やがて、全員集まり担任の先生も来てショートホームルームが始まり、終わり、入学式が始まった。校長の話は当然、長く退屈そうにしている人が沢山居る。僕もその一人だ。

 校長の話が終わり、代表のあいさつだ。代表が前に出る。代表の顔を見るとなんと神藤さんだった。この体育館にいるほとんど全ての人が神藤さんに見とれている。それだけ魅力的なのだろう。退屈そうにしていた人達はみんな神藤さんの話は聞いていた。いや、ただ見ていただけかもしれない。僕もだが。

      ●○●○●○

 入学式も終わりロングホームルームが行われた。担任の話を聞き自己紹介が始まった。「あ」の赤井から始まり僕に順番が回ってきた。

「笹塚朝です。朝と、書いて「とも」と読みます。本を読むのが好きです。よろしくお願いします」

うん。失敗したって経験聞いたことあるけど、成功かな。…けれども

「えっ」

僕の自己紹介が終わった後の拍手と一緒にそう聞こえた…神藤さんの声で…何かあったんだろうか。後で聞いてみよう。

 次の自己紹介は神藤さんだ。

「あ、えーと神藤真衣です。中学校まで田舎で暮らしていましたが最近引っ越して来ました。よろしくお願いします」

えっ!神藤真衣…あの神藤真衣!?昔と変わった気がする。いや、小学生以来一、二回ほどしか実家に帰っていないからかもしれない。神藤真衣は僕の幼馴染みだ。ってことは真衣は僕のこと好きなのか!?

そんなことを考えているときも拍手は鳴り止まず、それは今までの人達より大きいものだった。

      ●○●○●○

 あれから、ホームルームも終わり、それからの全てが終了した。帰るときに、真衣を探したがもう居なくなっていた。しかし、部屋は隣だから後で聞いてみよう。

      ●○●○●○

[ピンポーン]僕は真衣の部屋のインターホンを鳴らした。

「おーい。真衣。朝だよ」

[ガチャ]

「やっぱり、朝くんだった…」

真衣が顔を赤くしながらそう言う。やっぱりとはどういうことだろう?

「やっぱりって?」

「顔、朝くんとそっくりだったし朝と書いて「とも」っていう名前、朝くんしか聞いたことないもん」

そっくりというか本物なのだが。

「実を言うと可愛かった。いや、美しかった?まあ昔より僕好みになってた。それも僕のため?」

「うん。朝くん好みになった。美容関係の本、いっぱい読んだし、いろいろ試したの!朝くん好みっていうことは私達、付き合っていいの?」

僕は真剣に考え、答えを出した。

「僕好みだけど僕のためなら付き合わない。僕のせいで真衣をいろいろ変えたなら…僕は前の無邪気だった真衣の方が好きだ!だから、これからも幼馴染みとしてよろしく頼む…」

僕は頭を下げた。他の人から見れば付き合えよと思うかもしれない。でも、実際に真衣の幼馴染みという立場からすれば当然だ。今の方が僕好みだけど昔も可愛かった。でも、真衣を変えたなら元々の僕の幼馴染みだった真衣が居なくなってしまう。

「なんで、なんで朝くんのために頑張ったのに!」

そう言うと部屋へ帰って行った。

僕は誰もいない所で「ごめん。」と二つの意味でそう言った。









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