掌編小説・『UFO』
夢美瑠瑠
掌編小説・『UFO』
掌編小説・『UFO』
国粋主義的な、ショービニストchauvinistの、半独裁的な政治運営で、何度か一触即発の戦争危機が起きて、それに懲りた超大国は、次の指導者として、ガンジーを崇拝する、極端な民主主義者を擁立した対抗勢力に皆が挙って投票して、その、自称ガンジー・マルクス氏が当選して大統領に選出された。
ガンジーを思わす風貌に、マルクスのような髭を蓄えていて、プラトンとかそういう感じにも見えた。いよいよプラトニック・イデアを標榜する“哲人政治”の到来か・・・などと面白がる人もいた。
斬新な政策が次々と実行されて、まず、国防予算が半分になり、情報公開制度を極端なくらいに実行したので、軍の機密が次々と全世界の共通の知識となってしまった。
「ガンジーのやることだからしょうがない」と、国民はあきれたが、そういう非抵抗主義に対しては敵対勢力も却って手を出しにくく、率先して武装解除して脱軍事国家を果たしていく超大国に付和雷同させられる格好で、世界はだんだん平和になっていくのだった・・・
・・・ ・・・
超大国が従来から墜落したUFOの飛行推進原理を調査して、自家薬籠中の物とした挙句に、軍事兵器としてUFOを飛ばしている、ということは巷間よく言われていたが、極端な情報開示で、それが真実だったことも明らかになった。
それが、いつあろう、今日、2019年6月24日、偶然にもUFOの日であった。
UFOが実際に地球人の手で飛ばされている、というのは衝撃的なニュースだったが、現実だということになると、それはそれで納得がいく、当たり前のことに、
すぐなっていった。
UFO推進技術については、全く違う名目で目立たずにパテントも取られていた。
そして軍はそのパテントでかなり儲けてもいたのだ。
ドローンとか、リモートコントロールの無人爆撃機などもその技術の応用なのだった。
で、そのUFOは実際に恒星間飛行ができるのだった!
この、恒星間飛行技術が汎用化されたことで、世界は急速に変わっていった。
まず、そのUFO技術の物見遊山的な観光への応用をする旅行会社が現れて、UFOを大量に生産できる航空会社と連携して、惑星ツアーというのを計画して、格安の料金で、(何しろUFOの推進に必要なのはソーラーパネルだけだったから)観光旅行を提供し始めた。
「100%安全で快適」というのが謳い文句だったから、人々は我も我もと違う惑星へと旅し始めた。
こういう地ならしの期間がしばらくあったのちに、全世界的に宇宙という無限の資源と居住空間、無限の可能性を秘めた場所の価値がいよいよ再認識され始めて、物凄い「宇宙ブーム」が巻き起こった。
銀色の、無音で優雅に飛翔するUFOに乗った人々により様々な新天地が探索され、踏破されて、移住に適当な環境が整備され始めた。
他のソーラーシステムの惑星の住人との交流も盛んとなり、先端技術や、資源や産業製品が交易された。
かつてのSFで夢見られていた世界が実現していくことになったのだ!
宇宙には無限に住みよい緑の惑星が存在して、地球の疲弊によって住む場所をなくした人々も、ドンドンと新天地に旅立っていけることになった。
地球の移民問題や人口問題、温暖化問題はほぼ解決し、貧困も撲滅された。
労働は趣味や娯楽となり、「新たなルネッサンス」、「文芸復興時代」が訪れた。
争いの火種となる宗教や所有、レイシズム、国家等は、「イマジン」という歌のように、自然と消えていった。
そんなものは「くだらない」ことになったのだ。
これはキリスト以来の新たな「UFO革命」で、2019年6月24日が、新たな歴史のはじまりということになり、地球元年1月1日になった。
つまり結局UFOという「未知との遭遇」をきっかけにして、全く新しい世界が始まったということになるのだ・・・
♪YOU MAY SAY I AM A DREAMER BUT I AM NOT ALONE♪・・・
<終>
掌編小説・『UFO』 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 4話
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