異世界漫才 ボケる勇者とツッコむ魔王
なつのさんち
奉納漫才
大司教:勇者と魔王
生まれも育ちも違う彼らは何故、ここに立つのか
人族の為……
魔族の為……
世界の為……
今宵も神に笑いを捧げる為、彼らは漫才をする!
それでは登場して頂きましょう、どうぞ!!
どんどんどんどんどどどどーん
勇者・魔王:はいどーもー
勇者:勇者です!
魔王:魔王です!
魔王:二人合わせて……
勇者:出たな魔王!
この世界の為、俺はお前を斬る!!
ズバー
魔王:や、やられたーてやかましいわ!
どこの世界に相方を聖剣で斬り付ける奴がおんねん!
勇者:うーわっ!
斬ったとこウニョウニョして再生してってる、きーもっ!!
魔王:いやお前がやったんや!
勇者:言うてやらしてもらってるんですけどもー
魔王:いやまだコンビ名言うてない!!
勇者:コンビ名なんてないやん
魔王:あるわ! 先代魔王と先代勇者に付けてもろた大事な大事な名前があんねん
漫才の始めにちゃんと言うとかんとアカンのよ
勇者:だいたい何で勇者である俺と魔王であるお前が漫才せなアカンねん
魔王:そこから!?
俺ら今日が初めてな訳ちゃうやんか
勇者:ちょっとお前あんまそういう事言うな!
仮にも俺は勇者でお前は魔王やで?
見てる人からしたら何で勇者と魔王という相反する奴らが
肩揃えて漫才してるんやろっていう光景が見てて滑稽で面白い訳や
それを俺らが魔王城でネタ作ってるとことかやな、
朝日を浴びながら聖なる湖に向かってネタ合わせしてるとことかやな、
同じ女が好きやとか言うたらアカンねん冷めるやろ?
魔王:いや全部言うてるー!
全部言うてしもたやん自分で!
ほんで何やねん、同じ女が好きてどういう事やねん
勇者:あ、酔っぱらって抱き締めた事までは大丈夫やった?
魔王:そこちゃうねん!
何今さら確認してんねん、もう全部言うてしもてんねん
勇者:いやな、ちょっと俺も飲み過ぎてさ、泥酔してるお前が可愛く見えきてん
んで無理矢理その深淵なる羽衣を脱がせて真っ裸にしてさ、
ぎゅーて抱き締めてしもてん仕方ないやろ
魔王:え、気持ちわるっ……
何それ初めて聞いたんやけど
勇者:そらそやろ、初めて言うたもん
で、左鎖骨のちょっと下のほくろのあるとこにくっきりとキスマーク付けた
魔王:あれお前やったんか!?
全く見覚えのないキスマークで浮気認定されて封印されかけた俺に謝れ!
勇者:そのまま100年くらい封じられたら良かったのに
ほんなら聖女ちゃんフリーになんのに
魔王:いや俺の嫁狙うの止めろや!
そう言えばさっき同じ女が好きて言うてたな?
人の嫁の事を女として見るんはアカンて倫理的に
勇者:魔王が倫理語るな!
逆に魔王と聖女が結婚すんは倫理的にええの?
おかしいやん、普通聖女と結婚するんは勇者やろ倫理的に考えて
倫理的に聖女は誰かのモノになったらアカンの倫理的にーーー!
魔王:いや
勇者:(リンリンは鈴虫や)
魔王:俺の小ボケに小声でツッコむな!
マジで俺が間違えたんちゃうかと思われるやんけ
ツッコミは大きい声で分かりやすくしてくれ!
ほんで愛し合ってんねんから魔王とか聖女とか関係ないねん
勇者:聞きましたか皆さん!
魔王が愛を語る時代ですよ、すごくないですか?
魔王:そら愛くらい語るやろ、結婚してんねんから
愛だけやないで、夢も語る
勇者:夢も!?
魔王:そして明日への希望も語る
勇者:希望も!?
魔王:夢と希望だけやない
もしもの時の為に保険入っとかんなんなー言うたり
勇者:魔王が入れる保険なんてない!
魔王:何でやねん!
俺かて将来生まれてくるであろう子供の為にも保険入っときたいよ
勇者:いやだってお前殺しても死なへんやん
魔王:まーそやけど
勇者:どやったらお前殺せんの?
聖剣で斬っても再生するし魔法も全部弾くやん
魔王:いや魔王てそんなもんやん
勇者:しかも唯一魔王を封印出来る聖女ちゃんはお前の嫁やん
魔王:(ニヤリ)
勇者:え、それが目的で聖女ちゃんと結婚したって事!?
聖女ちゃんさえ懐に入れとけばあとは怖いもんなしって事!?
魔王:いや俺は嫁が一番怖いねん
勇者:せやな、懐に入れるどころかケツに敷かれてるもんなwww
魔王:そない爆笑せんでもええやろ!
それがうちの夫婦円満の秘訣やねん放っておいてくれや
勇者:それに比べて俺は独身で彼女もいてへん
家に帰っても暗いし寒いし飯自分で用意せなアカンし……
せや、こんな世界滅ぼしたろ!!
魔王:勇者の言う事ちゃうぞ!
それにお前には王国のお姫様というお人がおるやんか
勇者:それ魔王を倒した暁にはー言うてやる気にさせるヤツやん
お前俺の幸せの為に死んでくれるか?
魔王:お前の成功報酬の為に死ぬのは嫌やな
勇者:一国の姫を成功報酬て言うなや
まぁ今の王国には適齢期のお姫様おらんけどな
魔王:おってもお前みたいなもんにお姫様やる言うてくれる王様おらんで
勇者:お前みたいなんてどういう意味やねん
魔王:漫才中に人の嫁の事好きとか言い出すような奴なんて碌な事ないやん
勇者:それ言うたら漫才してる勇者ってどうやねん
勇者やったら魔王を倒す為に旅に出るのが普通やんけ
何で俺はその魔王と二人して大聖堂の神様の像の前で漫才せなアカンねん
魔王:それはもう今さらな話やんか
代々この世界では勇者と魔王が神様に楽しんでもらお言うて
定期的にこの場で漫才をする事で世界を救って来た訳やんか
勇者:笑わしよるな
魔王:せや、俺らは笑わせよ思ってここで漫才しとんねん
勇者:ちゃうやんか、今のこの状況やなくてやな
何で神様笑かす事が世界を救う事になるんやてーて聞いてんの
魔王:神様てこの世界の人間……、魔族含む全ての人らの思うような、
絶対的な善の存在やない訳や
おもろい事起こらんかなー言うて気まぐれに人族と魔族を争わせる
人族はお前勇者やって突然言われる、
魔王は全部お前が悪いって事にされる、
ほんでたんびに勇者と魔王が神様の娯楽の為に戦わされてたん
そこで昔々の勇者と魔王は考えた、
神様が退屈せんかったらええんちゃうの?
それ以来勇者と魔王はこうして神様の像の前で漫才をするようになった、
こう言う事やんか
勇者:それで平和になったんかいな
魔王:少なくとも人族と魔族が意味なく争う事はなくなったから、
神様は満足してくれてんちゃうか?
勇者:それが実は違うんや、昨日俺の枕元立って神様が言うたんや
魔王を倒しなさいってなぁ!!!
ザシュザシュ、プシャーーー
魔王:いやだからいくら斬られても死なんってや
それに何や、枕元に立つてそれ神様やなくて幽霊やんけ!
勇者:アカンかー、ちゃんと聖剣に神聖魔法かけて斬り付けたのに
魔王:お前神様どうのこうのやなく嫁狙いで俺が邪魔なだけやろ!
勇者:ええやんけ、俺の為に死んでくれや
魔王:もーええわ
勇者・魔王:どうも、ありがとうございましたー
大司教:『
わーーーーー
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