拝啓 何光年も離れた君へ 「お命頂戴いたします」 敬具

@mifune0710

遠い昔の約束

「ま、待ってくれ!行かないでくれ!」

 ボロボロの少年は涙を浮かべ、叫び、女にすがり付く。


 「離れなさい!」

 少年は武装した男たちに引き剥がされ、地面に押さえつけられた。


 女は涙を浮かべながら、口を開いた。


 「ごめんなさい。迎えが来てしまったの。あなたとはもういられない。」

 

 女の声は震えている。


 「あなたに会えてよかった。大好きよ。」


 「ああ。俺もだ。これから先もずっと君だけを想い続ける。」


 「ありがとう、。嬉しい。」


 「最後の私のお願い、聞いてくれる?」


 女はいろんな感情が折り混ざった複雑な笑顔を浮かべ、少年に問いかけた。


 「ああ、どんなことでも必ず叶えてやる。」


 「ありがとう。」


 女はそう言うと、少年に近づき、耳元で囁いた。


 「近付いてはなりません!そんな猿に!穢れてしまいます!」

 

 臣下は少年に近づくのを止めようとするが女は構わず続ける。


 「いつか私のもとまで会いに来て。」


 「ああ!必ず会いにいくよ!」


 「………そして私を殺して。」


 「、、。」


 少年は女の言葉に言葉を失った。

 少年は女がどうしてそんなことを言うのか分からなかった。


 「そろそろ時間でございます。さあ、羽衣を」


 「わかっているわ。」


 女は臣下が持ってきた衣を見に纏う。すると女の目から光が消え、全身が震えるような強い重圧を感じる。


 「では、帰るとしよう。」


 「この猿は殺さなくてもよろしいのですか?」

 臣下は尋ねる。


 「興が乗らん。放っておけ。」


 「御意。」


 臣下の男たちは少年から離れた。


 女と臣下たちは斬新奇抜な飛行船に乗りこむ。


 男は去っていく女を見て言った。


 「必ず君を殺しにいくよ。たとえ何百年かかっても。」

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