一人暮らしの僕の部屋で寝ていたたわわなサキュバスは皆に慕われる美人生徒会長に似ていた
月浜咲
プロローグ
ドンチャンドンチャン
下の階が騒がしい。
キーキーと女の子達の声が聞こえるが、大学生が部屋でウェーイと飲み会でもしているのだろうか。
安アパートだから響く響く。
周囲に他の住人が居たんなら、ウルセェと怒鳴り込む者も居たかもしれないが、僕の知る限り、ここは僕と下の住人のみ。
僕は騒がしいの平気な人だから別に苦情を言うつもりもない。
つまり、騒ぎ放題。
因みに、下の住人がどんな人かは知らない。
意外と鉢合わないものだ。
「さて」
小腹が空いた僕は、近くのコンビニに向かう為に部屋を出た。
「……ん?」
戻って来たのは、三〇分後ぐらい。
すっかり、下の住人は静かになっている。
時間は二二時前。
お開きにするには早い時間な気もするが、どうでもいいか。
それよりも、だ。
「あれぇ? 鍵、ない?」
ポケットを探っても、指先に金属は当たらない。
どこかで落としたのだろうか。
てか、普通にポケットに穴空いてんな……『あの子に縫ってもらわないと』。
「……まぁ、そんな時の為に」
独り言を呟きながら扉側にある鉢植えを持ち上げ、その下にある合鍵を拾う。
「(ガチャ)……んん?」
鍵を差しても無いのに開く扉。
鍵、閉めてなかったっけ?
まぁ、そんなうっかりもあるか。
気にしない僕。
田舎の無防備なセキュリティじゃないんだからもっとしっかりしなきゃとは思うが、盗られて困るもんも余り無いしね。
寝とる時におっさんに入られたら怖いけど。
「(キィ)お邪魔しまーす」
自分の部屋なのに、なんとなく一言断りを入れ、入室。
……、……なんだろう? この違和感。
いや、『異物感』?
家を出る前と、室内の空気が違う。
--甘い香り。
果物や菓子とも違う、脳の奥を痺れさせるような、本能を刺激する官能的な香り。
ふと、『何かを思い出しそう』になるが、それは今は置いといて。
ソロリ ソロリ
靴を脱ぎ、音を立てぬよう玄関からキッチンに歩を進める。
さっきから普通に立ててるので今更感はあるけれど。
スー…… スー……
これは、リビングから呼吸音?
僕のものじゃあない。
合鍵を持ってる【あの子】も、今日来るなんて言ってなかったし。
じゃあ、誰?
--考えつつ、顔を確認しようとキッチンからリビングに足を踏み出した、その時、
「あっ」
グニッと、何かツルツルする丸い物を踏み ズルッ
「グヘッ!」
前のめりにすっ転んだ先に柔らかいモノがあったので助かった僕。
妹がカーペットの上に勝手に置いて帰ったクッションかな?
でも『グヘッ』なんて空気が抜けるような音出すクッション、あったかな??
ツンツン プニプニ モニモニ
「んっ……あんっ……」
暗がりの中、顔の下にあるクッション? を手で色々確認すると、艶めかしい声を漏らす。
ほのかに、人肌。
カチッ。
流石に違和感を覚えた僕は、間接照明のスイッチに手を伸ばした。
ボヤッと、暖色系の灯りが部屋に広がって……。
「--会長?」
ちょっと、理解が追い付かない光景。
気になる会長が……エッチなコスプレをして、僕の部屋のリビングで、クッションを枕に寝ていた。
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