5話 配信タグを決めよう
シロネ:イズモごめん。今日のコラボなんだけど、無理そう。
イズモ:大丈夫!?何があったの!
シロネ:昨日の配信で疲れ過ぎて無理そうです。ホントごめん。
イズモ:あぁ……こっちこそ勢いで取り付けちゃってごめんね。それなら日付ズラそうか。
シロネ:おねがい。
寝て起きた僕がまずしたことは上記のやり取りだった。
今日が連休の中日で良かったよ。もう頭がボーとして配信する気力が起きない。
なのでイズモに謝りの連絡を入れ、コラボの日をどうにかズラしてもらった。
ほんとイズモごめん。
振上シロネ@Vワールド3期生 @shirone_huruue 3時間前
昨日配信で発言にあった同期であるイズモとのコラボですが、
明後日に延期となりました。
楽しみにしていた方々には申し訳ないのですが、よろしく
お願いします。
@32 ↺246 ♡802
なぜなら、僕が久しぶりに家族以外の人と長時間に渡り関わり続けた所為で、精神的疲労が溜まり過ぎてゲッソリ。
通話ではなくチャットのやり取りだったけど、彼女の心配する気持ちが良く伝わってきた。
ほんとイズモ優しい。しゅき、一生推してく。
「もうダメ……もう一回寝よう」
バンッ!
「シロネたん、初回配信よかったわよ!」
そう言って部屋に突入してきたお母さんを無視して、僕は再びベッドに倒れ込む。
今お母さんのテンションに付き合うのはムリムリ。
「お母さんを無視して寝るなんて悲しい。シクシクシク」
ウソ泣きをしながらベッドにやって来て抱きしめてくる。
正面からギュッとしてくるから、30代とは思えない胸の張りが……嬉しいような恥ずかしいような。
「よしよし、頑張ったわね」
そしてそのまま頭をヨシヨシと撫でる。
温かい掌が心地よくて、疲れを癒してくれている様に感じてしまう。
「このまま寝ても良いわよ」
「……うん」
心地よくて、疲れているせいですぐに睡魔に襲われながら小さく頷く。
こんな風に抱かれながら寝るなんて何歳以来だろう。
「お母さんともコラボしましょうね」
「…………ぅん……」
また何か言われた気がするけど、適当に相槌をして僕は意識を手放した。
そしてグッスリ寝て起きた僕は、
「ミャアアアアアアアア……!」
その後1人で目が覚めて、寝る前のことを思い出して悶えた。
はっ恥ずかしすぎるうううううううううううう!
『《振上シロネ/Vワールド3期生》配信タグを決めたりしたい《雑談枠》』
8,854人が視聴中 ↑2514 ↓10
「シっシロ友の皆さん、こっここ、こんにちわー……」
コメント:こん
コメント:こん
コメント:こんちゃ
コメント:どもってて草
コメント:一昨日ぶりの配信!
コメント:ようやくきちゃ!
「ミ゛ャ゛!?」
お昼過ぎの日中なのに、初日の様に怒涛に流れるコメントに再び悲鳴が出る。それも視聴者が多い気がする。
人が多くて怖いし、勢い早すぎて訳わかんないよ……。
コメント:悲鳴助かる
コメント:悲鳴助かる
コメント:助かる
コメント:丁度切らしてた
「ゴホンッ、えっと、おっ一昨日ぶりだから、また緊張しちゃって……それで、きっ昨日は……2回行動の疲れで……コラボ配信できませんでした……ごっごめんなさい!」
コメント:貧弱過ぎて草
コメント:ええんやで
コメント:無理しないで
コメント:休めて偉い
「シっシロ友達さん……グスッ……」
なんで皆こんなにも優しいのだろう。実は嘘でしたってオチにならない?
その時は配信をすぐに終了してベッドに潜り込む。
「みなさんが、優しすぎて、ちょっと怖いですね……」
コメント:草
コメント:草
コメント:ほ~~~らコワクナイヨ
コメント:↑怪しすぎて草
コメント:警戒心バリバリ子猫
「ねっ猫じゃにゃいです!……噛んだ」
コメント:猫やんけ!
コメント:ネコ語やんけ!
コメント:かみかみた
コメント:かわいい
コメント:やっぱり猫じゃないか!
「そっそんなことよりも!配信タグや挨拶を決めたいから案ください!」
コメント:露骨な話題そらし
コメント:俺じゃなきゃ見逃がしちゃうね
コメント:他力本願で草
コメント:マシュマロ使わないの?
「うっ……マシュマロは、今は怖くて…………」
マシュマロとはツイッターと連動して使えるサービスの1つ。
匿名で感想やコメント、または質問などマシュマロの便箋の様に送れる。だが、その匿名性の所為で誹謗中傷なども来ることがある。
初日の配信を思い起こすと、気軽に出来ない。
Vワールドの先輩方は使っているが、3期生はまだ使っていない。
その内、質問募集をしてマシュマロ枠などやりたいと思っているけど、出来るかな。
コメント:確かにちょっと怖いね
コメント:まぁね
コメント:大丈夫、ロリには優しいはず
「だっ誰が脱法ロリじゃい!19歳だから合法じゃい!」
コメント:口調崩れてて草
コメント:でも、つるぺったんだし
コメント:ようやく口調が!
コメント:シロネたんぺろぺろ
コメント:もう胸も背も成長しないね……
「ゴホンッ……取り乱しましたごめんなさい。マシュマロはその内やると思います」
コメント:切抜きで話題になってたな
コメント:まとめも上がってた
コメント:切抜きから来た
「ミャ!?まっまとめって、もしかして、えっ炎上……」
燃えてるとか、もう配信終えた方が良い?
どうしよう、コラボも控えているのに……。
コメント:大丈夫
コメント:燃えてはいない
コメント:むしろ萌えてる
「えっアッハイ。とりあえず、配信タグはいい案ある?」
燃えてないと分かって一瞬で落ち着いた。
コメント:シロネ放送
コメント:シロネ観察
コメント:シロネ保護観察
コメント:シロネ育成記
「案が酷くない!?なんでみんな保護者目線!」
コメント:シロ友(保護者
コメント:保護者だから
コメント:ちかたないね
「うぅ……ほっ他に案は?」
コメント:振上観察記
コメント:あまり変わってなくて草
コメント:草
コメント:しゃーない
「じゃ、じゃあ振上観察記で……」
おかしい、どうしてこうなった。
コメント:そういえば明日はイズモちゃんとコラボ
コメント:コラボできるの?
コメント:反省会コラボは出来てたから
コメント:コミュ障なのに?
「うぐっ……はっ反省会コラボは、もう色々と一杯一杯で、気にしている余裕すらなかったから……明日どうしよう……」
よくよく考えたら、2人っきりのコラボ配信。我コミュ障ぞ?
「イズモは可愛いし優しいし推しているけど、そんな
コメント:やっぱり駄目だったか
コメント:強く生きて
コメント:がんばれ♡がんばれ♡
コメント:できるできる、どうしてそこで諦めるんだ!
コメント:もっと熱くなれよ!
「みっみんな他人事だと思って……!また延期にならないかな……」
世闇イズモ✓:だーーーめ!
コメント:イズモちゃんいたw
コメント:イズモちゃんもよう観とる
コメント:却下されたw
コメント:そりゃそうだ
「イっイズモ!?あ、あわっあわわわ、どうしよう!」
世闇イズモ✓:慌ててるシロネちゃんかわよ
「あうぅ…………はっ恥ずかしぃ……」
コメント:イズシロてぇてぇ
コメント:恥ずかしがってるのかわいい
コメント:毎秒コラボしろ
「むりです、毎秒コラボしたら僕が死んでしまいます」
コメント:マジトーンで笑う
コメント:草を通り越して竹
コメント:がんばれコミュ障
「こっこのままだと変な流れになりそうなので、質問を受け付けます!何か聞きたいことはありますか?」
コメント:質問たすかる
コメント:初回配信だと出来なかったから助かる
コメント:VTuberになった切っ掛けは?
「えっと……VTuberになった切っ掛けは……3期生募集に応募するために作った動画をお蔵入りさせようとしたら、お母さんが必要書類と共に送ってしまって、なぜかそのまま……」
コメント:えっw
コメント:ママンw
コメント:どうしてそうなったw
「元々ボッチでコミュ障な僕が、その……友達が欲しいという事を知っていて、それならVTuberになっちゃえばって……あと折角良い動画だから出さなきゃ勿体無いとか」
コメント:泣いた
コメント:ボッチでコミュ障……俺かな?
コメント:いいお母さん
コメント:最後のが無ければw
「初めは成り行きで、不安しかなかったけど……でも、こうしてシロ友のみんなや同期達とやり取りするのが楽しくて……ズズッ」
コメント:そうだ俺達がいるぞ!
コメント:シロ友だからな!
コメント:シロネちゃん!
コメント:生まれてくれてありがとう!
コメント:ママンありがとう!
「ごっごめんなさい、ちょっと鼻水が……。つっ次の質問!」
コメント:下着の色
コメント:おいw
コメント:なぜこの流れでw
「下着の色?……水色のトランクス」
コメント:ちょw
コメント:それ拾っちゃうのか!
コメント:えっwwwトランクスwwww
コメント:女性でも穿くの!?
「部屋着の時はそうだよ。ショーツだと、こう、キュッて締め付けられている感じが落ち着かなくて。初回配信の時はお母さんに無理やり赤色のやつを穿かせられたよ」
世闇イズモ✓:シロネちゃん女の子が人前でそういうこと言ってはいけません!
コメント:速報 初回配信の時は赤いショーツ
コメント:切抜き決定
コメント:ママン・・・グッジョブ
「えっあ……、でも、ほっほら、せっ先輩方の配信とかでも偶に言ってるし!へっ平気だよね!?」
Vワールドの先輩方の配信も見ているが、凸待ち《相手からディスコードで通話を掛けてもらうまで待つ》配信などのネタで相手に聞いたりしてるから、だっ大丈夫だよね?
九坂かかえ:あたしはピンク!
コメント:ちょw
コメント:かかえちゃんw
コメント:いたのかw
世闇イズモ✓:かかえ先輩!?
「ミ゛ャ゛!?九坂かかえ先輩!あっ、ととととりあえずすっすすすすすスパナつけなきゃ!」
天真爛漫な言動で、控えめに言っておバカキャラでありムードメーカーであり、今の様な発言をちょいちょいして、周りを慌てさせる事が良くある。
九坂かかえ✓:やったー!ありがとうシロネちゃん!
「どどどどどっどういたしまして!」
先輩、それも1期生。このVワールドの舞台骨を作った第一人者の1人。
僕にとってはレジェンド。そんな相手に緊張しないわけが無い。
九坂かかえ✓:あたしともコラボしよ!
コメント:まさかのお誘い
コメント:陽キャに絡まれる陰キャの図
「ミ゛ャ゛ああああああ!?むりいいいいいいいいいいいい!」
無理無理無理無理無理ムリムリムリムリムリムリむりむりむりむりむり!
同期でも心臓ドキドキしているのに、先輩と何て恐れ多いし接したことないから何話していいのかも分からない!
よって絶対無理!
九坂かかえ✓:えええええ!?
コメント:警戒心の強い野良猫には早かった
コメント:大声で拒否ってて草
コメント:草
コメント:草
あれ?でも、先輩のお誘いをこんな風に断ってよかったのかな!?
やばいやばいやばいやばいヤバイ!
「とっととととトとりあえうずぅ!今日はこの辺で終わりにします!おつかしゃまでしたああああ!」
コメント:にげたw
コメント:にげたな
コメント:おつ
コメント:おつおつ
九坂かかえ✓:あ
【この配信は終了しました】
「…………はっ!?」
つい、混乱して訳が分からなくなって配信をきっちゃった。
いやだって、急に先輩からのお誘いとか心臓に悪すぎるでしょ。ドッキリ企画だったら発案者を殴りに行くレベル。
「陽キャこわい…………それに思いっきり断っちゃった、どうしよう」
僕は頭の中真っ白にしながら、部屋の隅にへたり込んで体育座りして足先を眺めた。
「スミッコハ、オチツクナー……ハハッ」
―――――――――――――
『《振上シロネ/Vワールド3期生》配信タグを決めたりしたい《雑談枠》』
視聴回数14,765回 ↑3982 ↓28
チャンネル名:振上シロネ-ShironeHuruue-
チャンネル登録者数3万
Twitter:フォロー数11人 フォロワー数15,898人
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます