2月25日
俺は学生のとき、酒販店でバイトをしていた。そこはビールやワイン、日本酒などのほかに、多様なお菓子、おつまみも販売していた。
仕事の内容は簡単だった。レジ打ちをするか、品出しや売り場整理をするかだ。後者の場合、なかなか疲れるものだ。品出しの「品」とはすなわち重たいビールケースだからだ。
かといって、前者でも疲れるものは疲れる。基本的にはずっと立ちっぱなしだからだ。さらに、面倒な客の対応もしなければならない。
一方で、俺はその職場が好きだった。社員の人がとても優しかったからだ。仕事終わりには飲み物を買ってくれたし、たまに日本酒一瓶を奢ってくれることもあった。
その人が俺にくれる飲み物は、決まって午後ティーだった。俺は午後ティーが好きというわけではなかった。自分で買って買うことはまずなかった。そこで疑問に思って、なんで俺には毎回午後ティーなんですか、と聞いたことがある。するとその人は、だって君午後ティー好きそうだもん、と決まりきったような顔で答えた。
俺のどこに「午後ティー飲んでそう」要素があったのかは今になっても全くわからないが、嫌な気はしなかった。
「そんな風に見えますか」といって笑って、キャップを開けて飲む午後ティーは、決して悪い味ではなかった。
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