第40話 幕間 プリーモ結婚する
本日プリーモは、父ユウトと母マキに連れられて、魔法王国のとある豪華な屋敷に呼ばれた。
父はなんだか、香水がきつい!
更には、いつもよりお洒落をしていた。
母は、豪華な催しに慣れてないのか、不安そうだ。
一体何の為に呼ばれたのか?
父に聞いても「サプライズ」だと、
告げられただけで、よくわからない。
母も知らないらしい。
いよいよ、豪華な屋敷に馬車が到着した。
執事の人が手を取り、下ろしてくれる。
「うわぁ〜!! 綺麗!!」
巨大なシャンデリアに大理石の石畳み、
綺麗な甲冑像、真っ赤な絨毯、それに、色彩りのある花々...
思わずそんな感想が出る程、
内装は凝らされていた。貴族か王族の屋敷?
「本日はお越し頂き有難うございます。
此度の晩餐会を主催させて頂きます、
ファイアー伯爵でございます。
皆様方お楽しみ下さい」
「宜しく頼む」
そう言うと、父は母を連れてスタスタ中に入っていく。
「え〜こんな豪華な催しに一人にしないで」
プリーモはいそいそとついていく。
そんなプリーモに父は溜息を吐く。
「今日はお前が主役なんだから、胸を張れ!」
「いや、主役って何だよ!!」
父は悪い笑みを浮かべたまま、指を鳴らした。すると、二階から綺麗な衣装に身を包んた、女性達が、大勢降りてきた。
「ーープリーモ! グッドラ〜ック!!」
「ええ? ちょっ...」
父と母は、ある男性に挨拶に行ってしまった。父の古い友人なのだろうか?
それより、聞いて欲しい。女性が五十人はいるのに、みんなプリーモに挨拶にくる。
これは一体どういう事なのか? モテ期か? 様々な女性に囲まれながら、プリーモは必死にエスコートをしていく。
父から叩き込まれた、チャラ男になる為の十項目を今こそ実戦する時だ!!
空いたグラスはちゃんと変えてあげて、
あ〜はいはい! ダンスね! こっちはドリンクかな? え〜夜景をって...今日は曇天だわ!!
ダンスも全員踊る。大人の女性にはカクテルを作り、未成年の女性にもノンアルコールカクテルを作ってあげた。
テーブルマナーも完璧であるが、五十人もの女性全てをエスコートするなど、とても大変である。私はボーイかな? ふとそんな気がしてきた午後の晩餐会...分身の術があればなぁ〜
すると、父と話していた男性が挨拶に来る。
「私は魔法王マジックである。プリーモ君は、今日の晩餐会を楽しんでくれているかね?」
まさかの魔法王に、プリーモはビックリして膝をつく。
「魔法王陛下におかれましては、ご機嫌麗しうございます。大変名誉な晩餐会に呼んで頂き、身に余る光栄にございます。とても楽しく存じます」
「それは良かった。では、どの娘にするのだね?」
えっ? プリーモは意味が分からなかった。すると父がやって来て種明かしをしてくれる。
「今いるお嬢様方は皆、魔法王の娘さんなのだ! つまり、プリーモは気に入った子をお嫁さんに出来るのだよ」
おい!! 糞親父先に言えよ!!
プリーモは恨みがましい目で父を見る。
父は戯けながら耳元で囁く。
「何人でもokだって」
プリーモはビックリして、目を見開く。
父は、チャラ男の癖に何やかんや母以外に妾すら持っていなかったのに...
俺は大丈夫なのか?
すかさず、母を見ると、母は美味しい料理にご満悦でそれどころではないらしい...
「プリーモ様私こそ貴方を幸せに出来ますわ」
「いや私の方が幸せに...」
.
.
.
.
.
.
「ーーーーーー」
大勢の女性に求婚されて、プリーモは顔が真っ赤である。
父は優雅にハープを引き出した。
本気で俺が決めるのか? マジで?
てか政略結婚の割に美味しすぎる〜〜!!
二時間はかけただろうか...
この三人のうちどれにしようか悩んでいた。
一人目は、ピンク色の髪のおっとりしたお姉さん。とても優雅で優しそうだ。名はピーチ王女というらしい。
二人目は、薄い緑色の髪でこれまた清楚で優しそうな、少しインテリチックな年上美女である。名はエメラルド王女というらしい。
三人目は、薄い空色の髪のお淑やかな美少女である。三人の中で唯一同い年である。
名はラグーン王女というらしい。
焦れた父は、こっちに来いとジェスチャーをした。
トイレにて、プリーモは三人で悩んでいると父に伝える。
「ーーピーチ姫に、エメラルド姫に、ラグーン姫だな!? ファイナルアンサー?」
えっ? まさかの三人もokなの?
プリーモはビックリしながらも頷いた。
すると、何でもないかの如く、トイレを出ると、父は魔法王に伝えた。
魔法王はとても喜んでいた。
「よし! ピーチ、エメラルド、ラグーンこちらに!!」
魔法王は、三人を別室に連れて行き、
その他の女性は退出した。
プリーモも父に連れられて、とある部屋に入る。
「これに着替えろ」
「はい? これは何の服ですか?」
「結婚式様の服だが?」
父は何を今更みたいな顔をしているが、
よく考えて欲しい。会って早々結婚式とか...
あ? そう言えば俺皇子じゃん!!
「父様!! こういう事は、事前に知らせるのが普通ではないでしょうか?」
「だってお前、好きな娘いるからって前に相談して来たじゃん!! その人の為に断りますなんて言わせない為だ! お前は次期ナルシス王なのだから、政略結婚はして貰う。好きな子は妾にでも貰え」
「父様だって母様一筋ではないですか!」
父は頬をかきながら告げる。
「お前が母さんに、父さんは王だから妾を持つ必要があります。と言えるなら俺は構わないが...」
どうやら父は母に遠慮して妾を持たないらしいーーこの軟弱者!!
「ーーわかりました。では私は何人嫁を持っても大丈夫だということですね?」
「ああ!! でもそのかわり、嫁にしたら皆を大切にしてやれよ」
父はなんだか寂しそうな顔をした。
プリーモはとりあえずタキシードに着替えた。
父に連れられていくと、どうやらそこは教会だった...
齢十二歳にしてプリーモは三人も嫁ができる事になった。
父はバージンロードをプリーモを連れて、
牧師の元に行く。
魔法王は三人の王女を連れて、バージンロードを歩き、牧師の元に辿り着いた。
長椅子には、それぞれの王女の親族が涙を流しながら座っている。
てか、エドガー内務卿一家までいるではないか!!
母は、微妙な顔でプリーモを見ている。
やはり三人も選んだ俺は罪深いのだろう...
「プリーモさん あなたは今ピーチ王女、エメラルド王女、ラグーン王女を妻とし 神の導きによって夫婦になろうとしています。
汝なんじ健やかなるときも 病めるときも 喜びのときも 悲しみのときも 富めるときも 貧しいときも
これを愛し 敬い 慰め遣え 共に助け合い その命ある限り 真心を尽くすことを誓いますか?」
ーーええーい! ままよ!
「ーーはい 誓います」
「ピーチ王女、エメラルド王女、ラグーン王女 は今、プリーモさんを夫とし 神の導きによって夫婦になろうとしています
汝なんじ健やかなるときも 病めるときも 喜びのときも 悲しみのときも 富めるときも 貧しいときも
これを愛し 敬い 慰め遣え 共に助け合い その命ある限り 真心を尽くすことを誓いますか?」
『はい 誓います』
決断早!!
「神よ!! 新たに産まれし夫婦に幸あれ!!」
こうして、プリーモは三人の女性と結婚したのだった。
父に後日聞いたら、物凄く羨ましかったらしい。これは母に告げ口をしようと思う。
細やかな仕返しである。
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