第39話 ざまぁ②
おいおいおい! マジかよ?
あまりに拳闘王国軍が、不甲斐なさ過ぎて、
ナルシス王国軍は皆、ため息混じりである。
これもざまぁ! なのか? 一様そうだな!
みんな鏡を片手に、髪型をいじっていた。
こんなに早くみんなナルシスト化するものかね?? え?
ユウトは呆れていた。その内コイツら泥臭い戦いなど美貌を損ねるから嫌だと言い始めるのではないのか?
街では、魔法王国からの輸入される男性用美容液が大流行している...
確かにアレ良いよ! 俺も使ってるし...
ビューティー君!!
最早五十代のいぶし銀の方までが、
美を求めて日焼けをしだす。
これくらいの年齢になると、シワやシミを無くせない為に、逆に小麦色にして目立たなくするのだ。最早三十代でも通りそうだ。
若い人は吟遊詩人率が高い!!
流石ナルシス様の加護である。
あの魔法王国の音楽屋は、
仕込み刀入りハープの注文数に驚いていた。
「剣士や盾職の方で職の欲しい方は是非ナルシス王国へ来てください」
大陸中に募集をした。
なぜなら、前衛を務める者が産まれて来ないからだ。美を意識した吟遊詩人共に盾役は期待できない...
まぁ職業の平均レベル八十以上が四千人も居れば、最早怖い者はいない筈だ。
だって前回の魔王討伐戦は百人ちょいで達成したのだ! その四十倍とか...
過剰戦力ではあるが、油断はしない!!
だってユウトは命大事にの指揮官だからだ。
もう二度とあんな思いはしたくない...
ユウトは決意を固めたらとことんやる性格である。
プリーモは、幼い頃にユウトがおんぶしながら経験値を稼ぎ、既に勇者だけでなく他の職業すらレベル99にした。
えっ? 過保護過ぎてそんな勇者インチキだって? なら想像して見てくれよ!
自分の子が勇者の宿命を背負って産まれて来たら、レベル上げのノウハウのある親なら助太刀するものだ。
ぶっちゃけ、次男のセコーンドにも同じ事を計画しているが、これも全て親として、してやれる愛の一つだと思っている! 三人目も産まれたらやるかな?
ついそんなことを考えていたら、
崖に配置した、千名の部下とジジとバニラが帰ってきた。
「おつかれ!」
ジジとバニラは傅きながら答える。
「イエス マイ ロード」
いやその台詞の使い方おかしくないかね?
疑問に思いながらも、まぁ小さな事なので気にしない。実に良い手際であったのだから。
「まぁ拳闘王国が弱いのではなくて、作戦勝ちみたいな所あるから、みんなまたちゃんとレベル上げするように! 以上」
ユウトはボルボ山付近より以北の領地に手をつけなかった。
戦略上、あの一本道はかなり使えたからだ。ボルボ山とあの崖を抑えたら、
ほぼ勝てるとまで言い切れる。
「これで祝勝会ってのもな...」
「確かにちょっと遠出しただけだもんな」
「まぁ勝った事は勝ったんだし、宴にしようぜ」
兵達は気楽なものだ。ユウトがどれだけ作戦立案をしたと...
ナルシス王国へ凱旋すると、民達は戦勝を祝ってお祭り騒ぎである。
しかも戦わずして勝っている。
これで二回連続死傷者はゼロである。
王としての人気はさらに鰻登りだった。
ユウト王は誰とでも気兼ねなく、狩猟にも出かけて、いろんな催し物にも度々顔を出す。庶民派で負けなしの王など人気が出ない訳がない。
初代が偉大すぎると二代目が暗君とかよく言われるので、プリーモには、魔法学園でいろんな授業を受けて貰っているし、セコーンドにもいずれ通わせてあげようと思う。
それより聞いてくれよ! 魔法王から、プリーモに政略結婚の話が来てしまったよ!
プリーモはまだ十二歳だよ!? って言ったら、王族は普通その歳では許婚がいて当たり前らしい。
しかも、魔法王の計いで、上は二十代前半から下は八歳くらいまでの王族を計五十人好きなのを選ばせてくれるらしい。
すみません! 私も混ぜて貰っていいですかね? えっ? 駄目?
プリーモは実に羨まけしからん!!
てか魔法王は子供多くね?
後継者争いがおこるかもだよね?
私も心配はしているが、基本的には次の王は、その地の加護を与える神に認められた者がなる習わしがあるから、
それ程酷い事例はない。
加護神様はそれ程までに偉大なのだ!
えっ? 薔薇の花を咥えながら、ステップ踏んでいるうちの神様も本当に偉大なのかって?
それは私もまだ謎である...
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