第34話 【幕間】 プリーモチャラ男になる
プリーモ視点
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十二歳になり、魔法王国で魔法学院に通っているプリーモは悩んでいた。
それは、クラスで好きな子が出来たのに、
彼女はクラスで一番モテる男子が好きだった事実を、知ってしまったからである。
そこで、夏休みに入り、実家に帰るとプリーモはすかさず母に聞いてみた。
女心は同じ女性に聞くのがいいと思ったからだ。
「母様! どうしたら...何でもないです」
恥ずかしくて聞けない。
もじもじしながら、プリーモは母の前から走って逃げた。マキは首を傾げる。
どうしたらいいのか悩んでいると、父がいる執務室の前に到着した。
父なら...よし! 勇気を出して聞いてみよう。
「失礼します。父様! 実は相談したい事がありまして...」
プリーモは父に悩みを打ち明ける。
ユウトは呆れた顔をして答えた。
「モテてどうするのだ馬鹿息子が! お前は好きでもない女に言い寄られてそれで満足なのか?」
「しかし、私の好きな子がクラスでモテる男子を好きなものでして...」
ユウトは母さんには内緒だぞと念を押した後で、武勇伝を語り出した。
「俺は別にモテた訳ではないが、好きな女性はかなりの頻度で落としてきた。一時期は十股をした事もある。夜を共にした女性を数え上げれば三桁の域にあるだろう。それは全て自分のタイプの女性をだぞ! どうだ? 羨ましいだろう?」
プリーモはビックリした。
こんな身近に相談できる相手がいる事に
「父様! 好きな女性を落とすテクニックを教えてください」
プリーモは父ユウトに頭を下げた。
すると父ユウトは手始めにギターをプリーモに渡した。
「モテる為ではなく、好きな女性を落としたいのであれば、まずは武器を身につけろ!
好きな子にラブソングの一つも弾けなくてどうする」
プリーモは父の言いつけ通りに、ギターの練習をした。父ユウトは王である為に忙しいのでギター練習は母マキに習った。
更に父はプリーモをチャラ男にすべく動き出した。
それはプリーモにさせる落としテクの伝授である。ユウトは紙に書き出した。
〜〜チャラ男への道十項目〜〜
・一項目は楽器の演奏が出来る事。
・二項目はバーテンダーを経験する事。
・三項目はテーブルマナーを覚えて気遣いができる事。気遣いできないと話にならない。
・四項目は悪友を作る事。合コンやナンパを数こなす為だ。ユウトにもユリウスが居た。
・五項目は集団の場合は、グイグイ行くのではなく、場の雰囲気を第一にして、さりげないアピールをする。
・六項目は甘え上手になる事だ 母性本能をくすぐれ!
・七項目は女性にはそれぞれ個性がある。持ち上げた方がいいのか、押しの一手でいいのかなど分析をしながら相手に合わせた攻略を探りつつ、相手の理想像になれ
・八項目は束縛のキツイ女は避けろ! 必ずその女は浮気をするか、心が病んでいるからだ
・九項目は流行りの情報通になれ! しゃべる為の話題になる
・十箇条目は特に重要なので最後に書くが、常に綺麗になる努力をしろ! 昨日より今日、今日より明日の精神で、肌を綺麗に保ち、流行りの髪型にして、清潔感をだす。
父はプリーモに箇条書きにした手紙を渡してこう告げる。
「いいか! 我が息子よ! チャラ男の道に終わりなどない! 男を磨けよ」
プリーモは今日程父を尊敬した日は無い。
夏休みの間に、ギター練習とテーブルマナーにバーテンダーの練習をしようと心に決めた。
いやいや君勇者だよね? 世界救ってからそれやってくれるかな?
マキはプリーモの様子がおかしい事を不審に思った。ギター練習はするし、テーブルマナーの講義を受け、挙句には未成年の癖にお酒を作り、試飲を頼んでくる。
マキはユウトにプリーモの変化を告げると、ユウトはさも当然の如く言い放った。
「プリーモも少年から男に成長しているのさ! 俺達は親なのだ。息子の成長を見守るのも役目さ! 若いのだから好きな事をやらせてやれ! 何が花開くかわからないぞ」
何やら訳知り顔のユウトをマキは不審な目で見る。ユウトは素知らぬ顔で執務に戻った。
マキはプリーモが習い事の最中にこっそり、プリーモの部屋を詮索すると、チャラ男への道十項目の紙を見つけた。「あの野郎まさかプリーモまで...」ユウトはマキにこっ酷く叱られました。
「プリーモをチャラ男にしてどうするの!」
「プリーモが好きな子を落としたいらしいから、
アドバイスを送っただけだよハニー」
「まずは魔王討伐で訓練させるのが先でしょ?」
ユウトはマキに人生の格言を告げる。
「人はいつか死ぬ。それがいつなのかわからない。だけど好きな子を落とせないで魔王など倒せるか! やらずに後悔するよりやって成功を自らの手で掴み取るんだ!」
マキは悟ったーープリーモは父の血を受け継いでチャラ男になるのだと
その後プリーモは父の教えを全て実行して男を磨いた。すると好きだった子が、霞んで見えるくらいの美人を口説き落としまくって、父に負けず劣らず浮名を流すようになる。
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