発芽

 種を蒔いて十日が過ぎ、気温のせいで駄目になったか、さもなくばカビでも生えたかと思ったが、今日の朝になってやっと芽が出てきた。この達成感はなんだろう。日に数回見に行き、水をやり、蝸牛を放り投げていたが、その努力がようやく実った。実はなっていない。この感覚は初めてかもしれない。思い出すのは小学生の頃の朝顔だが、あれは半ば無理矢理だった。押し付けられているような。まあ、まだ芽が出ただけで、これから先、無事育つとも限らないし、蝸牛との戦いはまだ続くので、食卓に並ぶまで楽しみにしておこう。

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