第48話契約
古豪会長に呼ばれた日から数日が経ち真達はダンジョン内にいる。
あまり潜る人が少ないAランクダンジョンを選び入る人を古豪会長が制限した。
「本当に悪魔の力を借りられるのか」
このダンジョン内にハンターの内の1人である盾峰が疑わしそうに口を開く。
疑うのも無理はないと真は考えた。
残っている資料では悪魔族は人類の敵として記録されているからだ。
一般人はおろかハンターでさえ悪魔族と契約するのは夢物語だと断ずるだろう。
「だから、お前達には少しだけ希望を見せてやる」
デルガは盾峰を含めた古豪会長が呼んだSランクハンター達に言うといつもと違う青黒いゲートを出した。
「『出てこい』」
青黒いゲートの中からフル装備で固めた騎士達が出てくるとデルガの向かって跪く。
『デルガ様。我ら一同貴女様に呼ばれた事、光栄に思います』
「これからお前らが忠すべきは私ではない。それと声聞き取り辛いから兜は取れ。私が仕える主の御前だ」
デルガが一言命令するとそれぞれの頭を覆っていた魔力が解けて素顔が露わになる。
デルガに対して跪く悪魔族の顔を見てSランクは動揺のあまり2歩下がる。
全員がハリウッドスター顔負けの美形だったからだ。
「お前達も知っている通り王族に歯向かう屑共がこの人間しかいない地球を侵略しようとしている。この地球は私の主である真様の故郷だ。だがしかしこの世界はお前達が想像するより遥かに広大だ」
デルガの演説にハンター、悪魔族関係なく耳を傾ける。
「私の配下の悪魔族全てを動員させても守りきれない。ならばせめて下級貴族には対抗出来るだけの力が欲しい……そこで私が1番信頼するお前達の出番だ」
跪く悪魔族の体から喜んでいるような魔力をSランクハンター達は感じとる。
「お前達が気にいる人間を1人選び下級貴族程度に負けぬようレベル上げを手伝え」
「「「「「はっ!!!」」」」」
「言っておくが私の主を選んだ奴は容赦なく殺す」
「「「「「…………は!」」」」」
5人の悪魔族は立ち上がると真と獅堂を含めたSランクハンター達の元へ歩き出す。
「デルガが呼んだ君達は……俺が見た下級貴族って存在より全然強そうだね」
悪魔族を見つめてそう呟くとリーダー格の悪魔が真の言葉に答える。
「ご明察です、真様。我々はこれでも一応上級貴族の枠組みにいる存在であります。しかし上級貴族ではありますが上級貴族ではないのです」
リーダーの言葉に全員が首を傾げる。
「我々は上級貴族の中でも限られた者にのみ執事、メイドとして仕える悪魔であります。執事、メイドとして仕えるには最低限上級貴族の力がないとなれないのです」
言葉を続ける。
「悪魔族の中でも上級貴族より少ない上級貴族に仕える我々の存在を中級貴族と呼称しています。皆さんお見知り置きを」
5人の悪魔がSランクハンター達に深い礼をする
顔を上げるとリーダーの悪魔が自身の主となる条件を提示する。
「私達と契約したい方がいるのなら力を示して下さい」
「力?」
今まで黙っていた紅葉が口を開いた。
「そう力です、シンプルな武力。私達が仕える主に出す条件はこれだけです。簡単でありましょう?」
ほんの少し挑発するように話すとSランクハンター達から殺気が溢れ出てくる。
獅堂は気絶している
幾ら自分達より高みにいる存在であろうとプライドを刺激されれば黙っていられない。
「まず私から選ばせて頂きます」
1人の女性悪魔がそう言いながらリーダーより前に出てくる。
「今・日・は私が選ぶから覚悟して下さいね?」
言い終わるとSランクハンター全員よりも濃密な殺気が爆発するように溢れる。
思わず真だけでなく全員が武器を構えた。
獅堂は気絶している。
「主…様!こちらへ!」
このままだと真まで巻き込んで戦うかとを危惧したデルガが真を呼ぶ。
倒れて気絶している獅堂を担ぐとSランクハンター達から距離を取りデルガの横に立つ。
「主様、主様は既に私達と契約しているので戦わずともいいのです!」
何故か真に対して怒っているいるが当人は理由が分からない。
女性の悪魔が武器を構える。
「名前をまだ言っていませんでしたね」
警戒を解かずに紅葉達は武器を構える。
「フレーザー・フロスト。デルガ様に仕えていたメイドでございます」
微かに腕が動くと1人のSランクハンターが吹き飛び壁にめり込んでしまった。
めり込んだ壁からなんとか出てきたハンターは血を吐き出すとフレーザーに対して殺気を放つ。
「ふむ……心地いいですね。ですがまだまだ緩い」
ズドンッッ!!!
腹に響くような音が鳴るとフレーザーは今しがた吹き飛ばしたハンターの拳を掴んでいる。
ただのパンチだが真が食らえば必殺となる威力があった。
しかし放った相手は下級貴族の悪魔とは一線を画す存在であるため必殺は児戯に成り下がる。
「さぁ、私の力が欲しいのなら勝てずとも存在を示してみろ!!!」
フレーザーがそう叫ぶと口角が上がる。
「纏めて掛かってこい」
「ぐっ………」
誰かの呻き声が聞こえる。
5分……たったの5分でSランクハンターは全滅していた。
「ふぅ、下級貴族程度なら倒せるかもしれませんが上級貴族は不可能ですね」
フレーザーの言葉は1対1のという意味ではなく1対15の意味だ。
この日のために集まったSランクハンター15人は圧倒的すぎる力の前になす術なく地に伏した。
「誰も残らないこの状況でどう選ぶというのか……デルガ様どうすればよろしいでしょうか」
「自分で選べ……それにまだ終わってないみたいだぞ?」
困った様子でフレーザーは助けを求めるがデルガはまだ終わってないと切り捨てると真の側に侍る。
若干鬱陶しそうに離れる。
「はぁ……はぁ……デルガに仕えている人、あいや悪魔はこんなに強いんだ」
背を向けられたハンターは何とか立ち上がる。
それに気付いたフレーザーは驚き振り返る。
「お前……名前は?」
「紅葉詩乃……これでも一応デルガの友達的ポジションだよ」
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