第4話プロローグ4



レベル1が到底見れる世界ではない


助けに来た姉弟悪魔と名乗る白銀の騎士


対峙するのは芥、鹿島、紅葉、真を襲った紫紺の騎士


対称的な両者は戦闘も対称的だった。

2人で連携を取り危なげなく戦う白銀の騎士

そして誰の助けも要らぬと言わんばかりの荒々しい戦い方をする紫紺の騎士




紫紺の騎士が疾く剣を振り姉弟は仕切り直しとして一旦離れる。



『ハァ……ハァ……』


「ふむ、よく鍛錬は出来ているが、いかんせん格上との戦闘にまるで慣れていないな」


「貴様のような悪・魔・にも鍛錬する相手がいればまた少しまともに戦えたでしょうね」


「「期待外れだ」」


『なんなのだ……なんなのだ!貴様らは!同じ悪魔のクセに人間に与する?助ける?馬鹿馬鹿しいにも程があろう?!』


我慢が出来ない様子で怒鳴る紫紺の騎士


『悪魔なのだから本能に従い弱者を痛ぶって何が悪いのだ!勝つ快感それを追い求めて悪いと言うのか!』


「勝てる相手に勝って何が楽しいのか……それに私達や私達の親はこの少年のもつスキルに助けられた事がある」


姉の悪魔が真を見る


「だからこのスキルを持つ者の子孫は守ると誓った。少年、見ておけ。お前を守る悪魔は本能に勝てぬ悪魔を軽く超越する」


「姉上1人で?」


「勿論だ」


弟の方は引き下がり俺の近くに着く


「誰…?」


「アグリードと申します。あそこにいる姉の名前はデルガといいます」


「は、はぁ?」


デルガが今持っている剣を消し、また少し見た目が違う剣を空間から取り出す。

何度か素振りして雑に構える。


「剣術なんてものは、お前に見せるには惜しいからな?雑に行かせてもらう」


『後悔しろ。直ぐに殺して、そこの人間もお前の弟も殺してやる』


「1対1なら勝てそうだと言う口ぶりだな?自信があるのか?」


『我の記憶にある、手を出すなと言われている貴様らとて1人ならそう大した事はあるまい』


「ふっ」


紫紺の騎士を嘲笑する


「ふははははは!面白い事を言う!1人なら大した事はない?どこからその自信がーー」


ガンッッ!


デルガの鎧に短剣がぶつかる


『な?!?!』


「不意を狙い急所を狙った所で貫けなければ……意味はない!!!」


デルガは話しながら剣をノーモーションで振るが紫紺の騎士は即座に離脱する。

しかし紫紺の騎士が離脱するより疾く動き、その胴体に力を込めた蹴りを放つ


『ゴハッ?!』


かなりの速度で吹き飛び数度バウンドしたのち壁にぶつかりようやく止まる。


『っく、ぐぅぅぅ!』


蹴られた胴体を手で抑える痛みを堪える。


「ふむ、この強さの蹴りに耐えるのかならば……子爵級といった所か」


『だからどうした?!貴様の階級は伯爵だったはず!たった1つの階級でここまで差がつくものか!騎士爵、男爵、子爵!確かに強さによって与えられる階級だ!だがこの3つにそこまで大きな壁はない!』


「そこを理解しているのならば何故理解できん、だから下級貴族の強さしかないんだ」


ヨロヨロと立ち上がる紫紺の騎士の腹を蹴り更に壁にぶつける

即座に立ち上がると短剣で突きを放つ


「ふん!」


ゼロ距離で放たれた突きを一歩下がり避け、紫紺の騎士に出来た隙を見逃さずに剣でその体を切る。

切断こそはされていないが、かなり深く切られたのか血が止まる事なく滴り落ちる。


『くそったれが……畜生…!』


「丁寧な言葉が崩れて本性出てるじゃねぇか」


『取り繕う余裕など……あるものか!ゴホッ』


大量の血を吐く


悪魔族は何もしなくても、ただの刺し傷が時間と共に癒える文字通り再生力化物の種族だ。

それなのに全く傷が癒えない、まさか人間になってしまったかのかと不安が襲う。

その悪魔族の1人である紫紺の騎士は予想外の展開に内心かなり狼狽している。


「私達上級貴族は下級貴族と一線を画す力を持っている。だから上級貴族なのだ」


『……』


「情けとして見せてやる。手向けだ受けとれ」


『クソッ!!』


姉の悪魔は頭部に回していた魔力を解除すると付けていたはずの兜が取れ素顔が現れる。


(………綺麗だ)


真からは、悪魔同士が仲間割れを起こしているように見える状況で場違いなことを思う。

しかしそれも仕方がないだろう、真が生きてきた中でぶっちぎりで美しく過激な存在だったのだから。


「安心しろ死んでも魂は回収してやる」


構えた剣に魔力を集める。

魔力が集まると禍々しい光が溢れる。


「最後に言いたい言葉は?」


『いつか……勝つ』


「気に入った」


そのまま剣を振り抜く


ダンジョンを壊してしまうのかと錯覚する程の衝撃が真の世界に走り咄嗟に目を瞑る。








10秒ほど経つと、真の世界を襲った衝撃は収まった。

何が起こったのかと目を開けるとそこにあった筈の壁は消え去り、広かった洞窟内が更に広がっていた。


デルガは紫紺の騎士がいた場所で何かをしていた。

それが終わると真の元へ歩き戻った。


「姉上お疲れ様です」


「あの程度の魔力放出なら軽めのアップだよ」


「あ、あの貴方方は?」


「どこから話したものかな〜〜……まぁ平たくいやぁ私らは昔お前のもつスキルの持ち主に世話になった事があってな。その持ち主の最期の願いが同じスキルを持つ人が現れたら、助けてやってくれって事だったんだ……私が聞いたわけじゃないがね」


「え、俺のスキルが見えるの?!」


「私達レベルになると鑑定スキルはデフォだ」


「で、デフォ……」


「しかもそのスキルの特徴はな?絶対に血が繋がってないと発現しない特殊なスキルなんだよ」


「私達の一族は返しても返されぬほどの恩を受けたから、一族が絶えるまでは支えると決めたのですよ」


「簡単に言えば末代までのスキルでの主従関係だな」


(頭の混乱が収まっていないのに、次から次へとぶち込むのやめてくれ……!!!)


「な、なぁ俺のそのスキルってなんなんだ?まだ見た事ないんだステータス」


「まだ自分のスキルを知らなかったのか?仕方がない教えてやる」


「姉上対応が雑です」


デルガが「うるさいなぁ……」とアグリードへ文句を言いいつつ真へ告げる


「悪魔契約デーモンコントラクト。あなたのスキルは少し変化して私達の一族と専属契約するスキルになっている」


「悪魔……契約」


「私達は貴方以外はどうでもよいのです。ですが…あそこの者たちはどう致しましょう?脚を潰され立つ事もままならないようですが」


アグリードは倒れている芥、鹿島、紅葉を見る。

3人が大変な状況なら置かれている事を思い出し、アグリードとデルガに頼む。


「あの3人の脚を治せないのか?!助けようとしてくれた人達なんだ!!」


治せる望みに縋り必死に頼み込む。


「それは貴方の望みですか?」


「当たり前だろ!!」




少し迷ってるようだったが真の言葉を受け治すとアグリードは決めた。


「分かりました主の言葉のままに……」


(えっ、主??)


アグリードが治しやすいように、3人を一か所に集める。

手をかざすと緑色の光が3人を包み込む。

1秒毎に潰されていた脚が元に戻ってゆく、紅葉は脚に加えて折られていた腕も綺麗に元通り戻る


これで見た感じは外傷はなくなりあとは起きるだけとなる。

3人を少しだけ揺すると目を開く


「ゔっ………ここは?」


「あ、芥さん!!!」


芥が起きると鹿島、紅葉の意識も覚醒した。





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