農民だけどモンスター使えば最強なんじゃない?
@sou1028
第1話 スライムと出会い
この世界では人間とモンスターがそれぞれ存在し平和に暮らす魔法とファンタジーの物語。
私が住む村、ヘルズ村はこれといった有名なものは無く中心部の都市とは違いみんながよく知る農家や民宿がある平和な村です。
私の名前はサアヤ、農家で産まれ育ったいたって平凡でなんて事のない農民の娘。
そんな私だけど最近趣味と言える物を見つけた。
よく母さんや父さんに出かける際によく言われる。
この村から出て少し進んだ森にモンスターが住んでいるらしい。
冒険者から見たら弱いらしいけど農民や村人からしたら生きて帰れないほどに強いらしい。
そんな話を聞いただけで本当かどうかはわからないけどそんなある日、宿に泊まっていた冒険者の話をたまたま窓から話し声が聞こえてきた。
あの森には最近住み着いた強い魔物がいるらしくそいつが守ってる宝があるみたいでそれが目当てとか。
基本的にこの世界では人が平和に暮らす様に魔物(モンスター)も平和に暮らしている、けれど人の全てが善人じゃない様にモンスターの中にも悪さをするモンスターもまたいる。
そんな悪いモンスターを討伐するのが冒険者なのである。
冒険者になる資格は二通りあり、一つは生まれ持った魔法や剣の才能を持つ人、二つ目は才能が無くとも冒険者を夢見る子供達が教育機関で剣と魔法の知識と体力を身につけ、卒業と同時に見習い冒険者になれる。
私は農民の娘で冒険職には興味が無かった。
ただこの村で母さんと父さんと三人で平凡に過ごしていたのが幸せで何もいらなかった。
そんな私だけど一年前ぐらいに焚きの薪が無くなりそうになり親に黙って森の方に出て行ってしまった。
森の入り口くらいならと大事を思っていた時にモンスターと出会った。
「わあ!びっくりした。」
ぷよぷよした形で透き通る様な青色をしている、スライムだった。
「スライム...本物だ。」
冒険者の話には聞いてたけど初めて見る。
「触っても大丈夫かな?」
そんな私は恐る恐るスライムに手を触れる。
「柔らかい...」
スライムなのに纏わりつかつかず水の様な触り心地で離しても濡れた感触が全くない、それでいて冷たくて気持ちいい。
触っているとスライムも喜んでるように見えた。
「スライムって何か食べるのかな?」
そう思った私はよく母さんに内緒でこっそり食べてるイチの実をスライムのそばに置くと近くによりそのまま飲み込んだ。
「おいしいかな?」
言葉は通じないと思うけど何気なく口にした言葉を理解したのかスライムは跳ねて喜んでいた。
「スライムの名前は〜...とりあえずスライムちゃん!」
いい名前が思い浮かばなかったからしばらく仮の名前で呼ぶことにした。
名前を呼ばれたと勘違いしたスライムはこっちを向いてすり寄ってきた。
そんな出会いからよく親の目を盗んでは森へ行きスライムと遊ぶのが日課となり趣味になった。
話は今に戻り冒険者がどんどんあの森に踏み入れるならスライムが危ないと思った私はすぐにあの森へ行きスライムを安全な所に移しに行った。
「確かこの辺だったけど。」
いつもはすぐ出てきてくれるけどやっぱり強い魔物が住み着いちゃったのが原因で奥に隠れてるかもしれない。
親には決して奥に入っては行けないと言われてたがスライムの事で忘れていた。
森を進んでいく内に辺りは暗くなり視界が狭まっていく。
「何処に行っちゃったんだろう。」
探していると奥の草木が音を立てた。
「もしかして!」
スライムでは、と思い音の鳴った方へ近づいていくと現れたのは防具を着た冒険者だった。
「ん、なんだモンスターかと思ったら村のガキじゃねえか。」
「森にいるなんて不運だな。このまま連れ帰って奴隷商に売り飛ばそう、顔立ちはいいからその手のマニア相手なら高値で売れそうだ。」
私は今の会話でこの冒険者がいい人じゃないとすぐに分かった。
(今すぐここから離れないと)
けど怖くて足がすくんで動けなかった。
「だ...誰か...助けて。」
あまりの恐怖に尻もちをついて身体が震えて言うことを聞かない、足元に生温かい液体が流れて失禁しているのが分かる。
「もう怖くないよ、おじさん達が楽しい所に連れてあげるから。」
「こんなガキでも久々に今夜楽しめそうだ。」
「おい、売り物なんだぞ!バレない程度にしとけよ。」
私はもうダメだと思い目をつぶった時に突然魔物の叫ぶ声が聞こえた。
「うわ、なんだこいつ!」
「た、助けてくれ〜!」
目を開くと巨大なクマの様な魔物がいた。
そのクマは次々と冒険者を倒していき、今度は私の方に近づいて来た。
私は見てる事しか出来なかった、クマが私に向かって鋭い爪を振り下ろした時に何かが飛び出した!
「スライムちゃん!」
横からスライムが飛び出して私を庇う様に引き裂かれバラバラになった。
スライムの液体がクマの目に飛び散り怯んだクマは物凄い勢いで逃げていった。
「スライムちゃん...」
私はバラバラになったスライムちゃんを集めるしか出来なかった、一つにはなるけどぐったりしたまま動かない。
「どうしよう...そういえば!」
私は父さんに以前森で取れる薬草やきのみを教えてくれた事を思い出し採取した薬草を石で擦り薬草の液体をスライムに一滴落としたその時に変化が起こった。
「スライムちゃん!大丈夫!」
私が声をかけるとスライムは元に戻り元気に跳ねてた。
「よかった〜!」
ただいつも見るスライムと違って身体の色がエメラルドグリーンで綺麗だった。
そんなスライムが私の足に寄ってきて倒れた時に切った傷をスライムが飲み込む様に包むと傷があっという間になくなっていた。
「ありがとう、スライムちゃん!」
お礼を言うとスライムも喜びながら私を道案内するかの様に森の奥に進んでいった。
「どこにいくの?待って!」
スライムについて行くとそこには木箱があった。
(箱?なんでこんな所にあるのだろう?)
箱の中身を除くとそこには私と同じくらいの女の子が寝ていた。
「ひ、人!?」
私はこの先まさかあんな運命に出会うなんて知るよしもなかった。
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