ありていに言えばとても健気だけど切ないお話。
思春期特有の思い込みとか、勘違いとかですれ違い、恋に破れ、
それでも本当は前に進もうとあがく少女のお話でした。
クライマックスで主人公の少女は、想い人からのIMをみて叫ぶシーンについて
ちょっと感じたものがあったので書いておくと、やっぱり泣くという行為って、
(何を理由にしているかという問題もありますが)感情を整理するうえで
重要な要素だなあ、と。
泣いて気絶するまで泣き叫んで、気を失っている間幻想に逃げ込んで、でも、その逃げた先に救いがない自覚を持つ。
とことんまで逃げていれば、もしかしたら救いはあるかもしれません。しかし、それはこの少女の物語ではない。
失恋した痛みと向き合いながら、それでも渦巻く愛憎を抱えながら生きようという思いを胸に、締めくくられます。
”夢はいつか、醒めるもの。”
彼女はきっと、現実を手に入れたのでしょう。今度こそ。
実らなかった初恋はそのままに、彼への好意もそのままにして。
短編として発表されたとみられますので、続きは無いのでしょうが、この物語の主人公となった少女の未来が幸せになるよう祈ります。