世界で一番僕を愛してくれるお姉さん
水理さん
第1話 お姉さんは暮らしたい
社内結婚だった両親は結婚した後も同じ会社で働いていたため、2人そろって海外の支社への転勤を命じられてしまったらしい。
僕は今の交友関係を失くしたくなかったし、そもそも海外に行きたくなかったから海外への引っ越しを拒んだ。大変困っていた様子だったが、知ったこっちゃない。
悩みに悩んだ末、親戚にあたる女性の家で暮らすのなら良いということになり、その女性も快くOKしてくれたらしく転校する必要も無いということでお世話になることにした。
そして引っ越し当日、空港で2人を見送った後待ち合わせ場所に指定されているコンビニまで新しい生活やどんな人なのかといった期待と不安が半々の気持ちで向かった。
5分くらい経った頃だろうか。一台の車が目の前で止まり中から一人の女性が降り、こちらに向かってきた気がした。
「君が
どうやら来たらしい。答えようと顔を上げるとおよそイメージしていた女性とはかけ離れていた人がいた。
「あ...えっと...はい、そうです。」
「そっか!君が亮くんだね。
僕がイメージしていたのは普通のおばさんだったのだが、目の前にいた女性は長い黒髪を垂らし、モデルのようなスレンダーな体系をした美人な大学生くらいのお姉さんだった。それに驚いて固まっていると、
「ささ 車に乗って。行くよ行くよ!」
「あ...はいよろしくお願いします!」
車内ではいろんなことを話した。唯さんの通っている大学のことや僕の通っている高校のことなど。最初の方こそ緊張していたが、かなり積極的に話してくれるので後半は楽しく話せていたと思う。
20分くらい走っただろうか。車が停止した。
「さぁ、着いたよ。えっと...ここが私の家だよ~」
車を降りると、目の前には周りにある家に比べて少しばかり目立つというより、オーラがある(?)建物だった。
唯さんが鍵を取り出してドアを開けるのを見て
「あれ?ご両親は出かけているんですか?」
「あれ?聞いてなかったの?私一人暮らしなんだけど....」
「ちょっと待ってください。一人暮らしってことは一人暮らしってことですか?」
「え...そうだけど...」
えっ!待て待て待て待て聞いてないぞ!どういうことだ!頭が混乱してよくわからない!
唖然と口を開けその場で突っ立っていると、
「まぁ、君が来たから今日から2人暮らしなんだけどね。」
平然といってのける唯さんに驚きつつ、
あのバカ親め!!なぜ説明しなかった!!
心の中、一人で叫んでいた。
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