ボーナストラック

「待って、俺の世界普通に怪物いる上に天叢雲剣アメノムラクモまであるの!? なんか綺麗に終わってるけど弟さんの夢にも八尺様出たりしてない!?」


 わしは現在、サメがいないクソ不毛異世界ことサラムトロスへ鮫川彩華さめかわ あやかという自称凡人と共に飛ばされ、そこで異世界サメを造ったり新天鮫しんてんさめを求めた旅をしておる。

 今日はサラムトロスにおいて正月といえるシーズンであるためか、彼から「そういえば鮫沢博士って元の世界だと正月は何してたんだ?」と聞かれたため、先程の思い出話を語った次第。

 じゃが、そこで放たれた感想は普通にドン引きと失礼極まりないものじゃった。

 これじゃから最近の若者は……。

 とはいえ、一つ一つ丁寧に回答してやるべきじゃろう。


「まず、前者については現実を受け入れるしかない。そして後者については安心せい、一度は八シャーク様が白昼夢として出てきたようじゃがその時何故か枕元に置いてあったはずの鮫叢雲剣サメノムラクモでバッサリ一刀両断、するともう二度と会うことは無くなったみたいじゃ。じいさんも呪いの対象が未成年のみだったのか綺麗に寿命死じゃしな」

「また待って、天叢雲剣アメノムラクモを普通に持って帰ったの弟さん!?」

「大事にいつも持ち歩いておるぞ」

「日本神話に出てくるあの剣をそんな気軽に!?」


 うるさい相棒じゃのう。

 まあ、彼が居なければ乗り越えられなかった局面は無数とある、それも許容範囲じゃろう。


「ええい、とりあえずだが、話をしてくれてありがとうだ」


 それに、わしの話自体には満足して頂けたみたいじゃな。異世界なりの正月の思い出がひとつできたわい。


 ……ああ、そうそう、読者の皆も田舎の山にはろくなものが無いし、不用意に登ると呪われるから注意するんじゃぞ。

 これは、わしとの約束じゃ。

 さめさめ(チャンチャンのサメ版)。

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