見上げるな見下ろすな

 年収200万円で、特に不満はないが満足もしていない男がいた。

 ある日、高校の同級生だったA君に誘われてホームパーティーに行った。A君もその友人も医者や弁護士、実業家ばかりで年収は1000万円を越えている。それに引き換え俺と来たら……暗い気持ちになりその日はとぼとぼと帰った。なにくそ、俺もいつか金持ちになってやるぞとも思ったが自己嫌悪は拭えない。

 またある日、今度はB君に、BBQに誘われた。B君もその友人もフリーターが多く生活レベルも決して高そうではない。それを考えると年収200万円の自分は幸せなのではないかと。むしろ200万円も稼いでいる自分は優秀なのではないかといい気になる。

 どちらも、そんなことはない。君は君だ!なのに他の誰かを見て幸せだの不幸だのと考える。そうではない、幸せは主観的な物、他人に左右される必要はない。君が年収200万円でも満足だと思えばそれでいいのだ。

 君が、大好物の回転寿司を食べる。

「美味しいなあ、幸せだなあ」

そう思い食べてると後ろから嫌みが聞こえる。

「そんな安いので満足なのかい?バカ舌なんだね、可哀想に」

 なんと言われようと自分は今幸せだ。それでいいのである。

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